翻訳・通訳活動

私は大学時代に東南アジア言語を学習し、留学していたため、現在はその言語の翻訳者として細々と活動しています。

初めての翻訳

私が翻訳活動を始めたのは、大学3年生のときのことでした。先生から紹介されて、ある国の地震・津波被災者の手記を翻訳するという仕事が人生初の翻訳仕事でした。その時は右も左も分からず、ただ「日本語に直す」ことだけで翻訳が完結すると思っており、大した見直しもせず納品してしまいました(翻訳は日本語に直すたけではなくその後に様々な作業があります)。当時の私はその後に校正というプロセスがあることさえも知らず、納品したからこれでもう大丈夫と思っていた記憶です。ところが、自信満々で出した翻訳は校正者から「ひどすぎる」と文句が来ていたらしく、翻訳コーディネーターの人からは今後の改善点について厳しいお言葉をいただいたのを憶えています。今思えばとてもチェックが甘かったですし、ガタガタの翻訳を出していたなと恥ずかしくなります。

通訳にも挑戦

大学3年生くらいから、通訳の仕事も挑戦するようになりました。各種展示会や商談会、研修の通訳者としてアルバイトしていました。しかし、商談会や展示会の場では英語が主に使われており、私が学んでいた言語を使う割合というのはあまり高くはありませんでした。また、翻訳とは異なり単に意味が通じれば良く、単語を吟味する時間的猶予はありません。個人的には、じっくりと最適な言葉を紡ぎ出す翻訳の仕事の方に楽しさを感じ、通訳は楽しいと思えませんでした。

通訳をクビになる

私がとても苦い記憶として忘れられないのは、通訳をクビになったことです。元々通訳はそれほど好きではなかったのですが、人手が足りないということで研修通訳の仕事を受けたことがありました。会社の研修だったので専門用語だったり固有名詞を事前に調べてから通訳業務にのぞんだつもりではあったのですが、どうしても即時に話すことができず、外国人研修生と日本人の社員の方の話が噛み合わなくなることが多発しました。結局、何を言ってるのか分からなかったと文句を言われて、コーディネーターから次から来なくて良いと言われてしまいました。この時私は3日くらい辛くて泣いてしまい、通訳は本当に向いてない、やりたくないと思ってしまい、それ以来通訳は一切やっていません。

フリーランス翻訳者として活動開始

大学院を卒業してから一般企業で働いていたのて、数年のブランクを経て現在フリーランス翻訳者として活動しています。トライアルを受けて採用された複数の会社に登録し、そのうちの1つからはかなり頻繁に仕事をもらえるようになりました。内容としてはほとんどが行政文書だったり企業の文書だったり、産業翻訳になります。

毎回の案件が学びの場

社会人経験も浅く、専門分野が大してあるわけでもない私がいきなり仕事を請け負うのは簡単なことではありませんでした。フリーランスとして活動すると、会社側は翻訳者として知っておくべき基本的な作法は分かっているものとして仕事を依頼してくるので、それを自力で学ぶことは大変でした。『翻訳ジャーナル』を読んだり、翻訳会社のコラムなどを読みながら勉強しています。毎回の案件は仕事でもありますが、本当に有益な学びの場所でもあります。

今の目標

色々と翻訳者以外にやりたいことはあるのですが、翻訳者としての今の目標は2つあります。1つは専門分野を持つこと、もう1つは形として残るものを翻訳することです。私は社会人として特定の職種で働いた経験が浅く、なかなか知識や専門性もないので、そういった意味ではとても不利です。そのため、何か「この分野ならこの人に任せよう」となるような専門分野が欲しいと思っています。もう1つは、出版物や記事など何でもいいので、産業翻訳だけではなく、形として残るものを翻訳したいなという夢があります。残念ながら、マイナー言語の出版物が日本語訳される機会はそれほど多くないので、狭き門ではありますか、いつかはそのような機会があればなぁと思っています。


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