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聖魔導士伝説

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聖魔導士フェルラート・ゼン・ディーンとその守護士の物語。
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Prologue

Prologue

兄上。私には双子の兄上がいる。名前はない。誰も彼を呼ぶことがないからだ。私も話をしたことはないが、たまに見に行く。寝ている姿を。

黒く染められた絹糸のような長い髪。尖った耳には白金の小さいリングが1つ。一糸まとわぬその肢体は白く淡く光る。その背中には漆黒の翼が生えている。目があうことはないので、さだかではないが、瞳は夜の月明かりで出来る影のようだと聞く。

彼が寝ている間は私が起きていて、私が寝

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1.

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暗い森が続く。風もないのにざわざわと木々が揺れているようだ。ただ、音はしない。静かな、静かな森のなかの一筋の道を、長であるオーディンにしたがって進んでいく3人。前方が明るくなってきた。長は迷わずその光に向かって歩みを進める。近づくにつれ光は増していき、長がその歩みを止めた頃には、辺は光に照らされて眩いほどだった。そこは、湖か、海か、わからないが、4人は水際に立っていた。光はその水の向こうから発せら

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2.

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その日はやってきた。朝からそわそわしていたサムに、ゼフィーは落ち着くように言った。契約の儀は夜なのだ。今からせわしなくうろうろされても目障りだ。と。そこに長が入ってきた。「夜はこれを着て出るように。守護士の門出の日はこの制服と決まっている」そう言うと3人に服を与えた。濃い青紫の詰襟の制服。白金の縁取りが美しい。肩から斜め掛けにした布には「主の意志に従い守る」と古い魔法語の護符が白金の糸で刺繍されて

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3.

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「それでは、契約の儀を執り行うとしましょうか」長はそう言うと広間の奥の大扉を開けた。そこには直径10mほどの魔法陣が床に刻まれていた。
ディーンは忠告した。「3人とも許容範囲を超えないように注意してくださいね。無理だと思ったら私から離れるように」自分の許容範囲を超えると守護士が崩壊してしまうからだ。
「では、サムからでよろしいですか?」長はディーンにたずねた。ディーンは頷くと魔法陣の中心のサークル

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4.

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2階にはサム、ゼフィー、ジードの部屋がある。長のオーディンの部屋は3階だ。ディーンは2階の奥の部屋に通された。大きなベッド、少し疲れていたディーンはベッドに転がって目を閉じた。さっきまで多くの人に見られながら契約の儀を終えたことを思い出していた。そして自分があの程度のことで意識を失ったことを自嘲する。まだまだ精神力が足りないなぁ…と。
コンコン。誰かがノックした。ディーンにはそれが誰だかわかってい

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