岩佐讃海

岩佐讃海

最近の記事

さようなら。私。

そんな、ちっぽけな譲れないことで戦ってどうするのかしら。 反抗は甘え。私の目の前はもう、大変なことになっていた。でも、気持ちは全然高揚なんかしなくて、なぜだか今までの出来事が馬鹿ばかしくなっていた。なんのために、私はこの世界で順応し生きてきたのか。 しらずしらずに、足並みを揃えていたのだ。女子高生というものは恋愛で花を咲かせるし、人間が収まっているこの校内で光り輝いてみえる異端なもの。それが好きな人だと。私は嬉しくなって、特別になった気分だった。その異端なものと私は特別な

    • 逃げるは恥っていうか逃げる勇気などない。

      逃げる勇気もない。 あまり欲がなかった。諦めてるんだ。 自信がないから。 ファックスはそのままアタシそのものだと思う。格好もつけずにだらしない。中途半端で美しくもない。誰かが好きなだけだった。 いつから、見返りを求めるようになったんだろう。誰かを好きになると欲しくなる。アタシはこうなのに。こうだよ。なんで? 小さい頃、よく先生にすぐに意味がわからないというのはやめましょうと通信簿に書かれた事がある。中学にあがった頃にアサミからその通信簿を懐かしいからみてみ。と言われ

      • 使命

        昔から自分のことは、よくわかっていた。 大事な人が一人いればそれでいいし、 まわりの目なんか気にならなかった。 信じていたから。自分を。将来の自分を。 まだまだ、これからだった。 小さい頃から親がいなくてまわりと違うことはわかっていた。 だからこそ、私は落ち込む事もなく 未来の私に希望を抱いた。私は、まだできる。まだまだいける。 目の前でなにがおころうと、私はあまり驚かなくなった。 もうこの際、これが運命だと思って受け入れるスタイル。 今、私に守りたいもの

        • 誰かのために生きるなんてただの言い訳

          できるかぎり相手には優しくしたいと思う。 でも、なんか合わないなぁって人とは、もう合わないと思う。 嫌なことをされても好きになる人がいる。 アタシは、誰かによりかかって生きているだけなのかもしれない。 流れてたどり着いた先が、ここならばラッキーだ。 自分とかけはなれたまさにファンタジー。 しゃべる猫と変身ができる優等生めがねちゃん。 アタシは、ただの女子高生。 「ちょっと〜〜、アスカ先輩最近どこにいるんすかああああああ」 もこもこのダウンを着た、かわいい後輩

        さようなら。私。

          それでも大丈夫なんて開き直るのは大人になってからでいい

          ブローチは、きれいに元通りになっていた。 中を明けてみると、たくさんの円が配列されており それぞれが、宝石のようにきらきらと光っている。 「ねぇ、ぺぺ。ブローチのひとつの円が光らないの。ホントに直ったのかしら?」 「それは、つぎの色というしるし。取り戻すエネルギーの色だよ。」 私は、しらないことがもう少しでわかる興奮で高まっていた。 とにかく、はやくそのエネルギーを取り戻して この目に、色をうつしてほしかった。 理由なんかどうでもいい。 ヤンキーにつれられて

          それでも大丈夫なんて開き直るのは大人になってからでいい

          頭では理解しているは、ほとんど理解できていない。

          「ラボも完全に安全とは言い切れない。」 来た道を戻っていくと 息がくるしいかんじがした。 「焦げ臭いな…。…」 扉をあけたとたん、黒い煙に体育館はつつまれていた。 火は扉の近くまできていた。 アタシは、めがねちゃんの手をとって走った。 熱いはずなのに冷たかった。 必死の思いで、ぺぺとめがねちゃんと外にでた。 「おい。人は誰もいなかったんだ。誰かがわざと…。」 きっと、あの変態帽子の仕業だった。 スカートが少し焼けて黒くなっていた。 触ると、ボロっと部分

          頭では理解しているは、ほとんど理解できていない。

          CS3

          壊れやすいものには惹かれるね。 直しがいがある。 完璧な人間などはいないが 正直な人間がすきだ。 「アスカ…ワルイヒト」 影にかくれていた少女が指をさした。 このヤンキー。まぁ、ワルイヒトっぽいよね。ヤンキーだし。 私と比べたら対照的だものね。 「ちょ。アタシはこんな感じだけど悪者ではねーよ。あと、なんでアタシの名前っ…。」 アスカっていうのね。 ヤンキーっぽい…。 「とにかく、このパレットは少し預からせてくれ。すぐには直せそうにない。」 「わかった。

          建前

          慣れてくると、 一度、許したら二度目も大丈夫だと思われる。 こちら側が、気を使って 険悪な感じにならないようにしたというのに 何度も、何度も、悪びれること無く傷をつけてくる。 嫌なことは、嫌だと言わないと。 「能力がない人はは来ちゃだめなんだけど。」 芸大生がアタシに言った。 「いや、っていうかこの猫につれてこられただけだし。」 「でも、決めたのはあんただろ?ここに来ようと。来ちゃダメなの。わかる?」 イラつく男だ。 「だって、この人色もつくれないんでし

          白衣の芸大生

          体育館倉庫にこんな、かくし扉があるなんてしらなかった。 膝を手当てしてもらってから 私たちは、ぺぺの言う「ラボ」へ向かった。 体育館は、誰にも使用されておらず 冷えきっている。 ヤンキーが、こっちの学校に来ることは禁止されている。 バレないように、慎重に進んだ。 ペペが器用に、扉の鍵をあけて進んでいく。 「あ〜。アタシもあっちの学校ではこうやって鍵をつくって勝手に入ったりしたよ〜」 「おまえと一緒にするな」 ぺぺが、なぜこのヤンキーをつれてきたのか わか

          白衣の芸大生

          ほんとの好きな物に認定

          造形 コントラスト 文字 視覚伝達は、簡単だ。 肌が白い。黒い。 髪が白い。黒い。 細い。太い。 女子トイレ。男子トイレ。 めがねちゃんの学校は「ホワイト」。 産まれたときから決まっている。 アタシの学校は「ブラック」。 産まれたときから、それが変わる事はない。 髪の色で決まってしまう。遺伝子。 アタシは、真っ黒ではなかった。 グレーっぽい感じ。 まわりには、そんな人いなかった。 でも、白じゃないから黒になった。 「おい。大丈夫かよ」 「…

          ほんとの好きな物に認定

          「ユミちゃん。本気なんだね」 大雪の中外をでると、先輩がいた。 ぬめっとした声が、響く。 「げっ。また、あのダセェ帽子の…。」 「君は、センスのかけらもないね。この世に不満もなにもなさそうだ。」 私を突き動かしてくれた先輩。 ありがとう。 傷つく事で、人は学ぶのね。 必要だった感情と、そうじゃない感情と それが本気か、本気じゃないか… 「先輩。私はもう逃げないわ。」 一瞬、強い光が私たちをつつんだ。 これだ。私が求めているもの。欲しいもの。 手に入れ

          ズレ

          「すげぇ、広い家だな。ひとりで住んでんの?」 「むかしはね。家族がいたんだけど。いまは、ひとり」 家に入ると、電気もついていない。 めがねちゃんのこと、そんなによくしらないけど なんだか、似たような気持ちを抱いている気がした。 広いリビングを通ると、キッチンがある。 ごく普通の、一軒家なのにぬくもりが全くない。 ただ、ここに住まわされているような優等生。 きっと、玄関先にある小物たちが 唯一の、めがねちゃんらしさなんだろう。 あまり、人の家にあがったことが

          こんな世界に希望なんてあるか

          赤 青 黄 緑 紫 ピンク … どんな色なのかしら。 「きみに色は似合わないよ」 先輩は、そう言っていた。先輩には色が見えるのかしら。 私には、先輩が真っ白な人にしか見えない。 だって、私たちは「白」だから。「黒」じゃない」。 ベッドの上で、ブローチをあけたりしめたりしてみる。 キラキラ光る、石がうめこまれている。 それを指先で触ったり、はじいたりしてみる。 ブローチは、あのときみたいに光はしない。 なんか、楽しみが終わっちゃったような感覚。 本を何度も

          こんな世界に希望なんてあるか

          目立ちたい 自信ない

          小さいときは、もうすこし活発だった。 みんなを楽しませたいし、喜んでほしいから なんでもやった。 なんでも、決めた。 この頃のアタシは決めることに臆病なんかじゃなかった。 どこからそんなエネルギーがわきでているのか 今じゃ謎なんだけど とにかく、なんでもアタシの手に収まらないと気が済まなかった。 ある日、友達が学校へ来なくなった。 頭では、あまり考えずに思いついたおもしろいことを 衝動的にやった。 バスにのっていると、友達のお母さんが バス停にいた。

          目立ちたい 自信ない

          結晶

          無駄な時間を過ごすのが嫌いだ。 無駄だと感じるか感じないかは、私次第だけれど 計画的に生きていないと、ダメな気がする。 理解出来ないものに触れたとき いつもならば、拒絶するはずなのに 今回は違った。 私はあれから、学校へは行かずに あの本を読み続けている。 見えそうだった。あの時。 にごっていたものが、はっきりと見える気がした。 窓を見れば、まっしろだった。 いつの間にか、真冬になっていた。 「ごはん、かわなくちゃね」 ペペは、いつも私に時間がないと

          あたらしく

          あっというまに、12月だよね。 北海道はまっしろだよ。師走だよ。 あと、一ヶ月で今年も終わるんですね。 この言葉、毎年何回言えばいいの? これ、何度も言って死んでくの? いやぁ。今年もあっというまでしたねぇ。 17歳。 すぐ、年取るんだから。 大人になるっていうか 仕事とかし始めたら、なんかかわるのかな? わりと幸せだけと 劣等感を抱きながら生きたくはない でも、このままだと確かにそれはもうすごいスピードで すぐに、年をとりそうだった。 あれから、

          あたらしく