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白衣の芸大生


体育館倉庫にこんな、かくし扉があるなんてしらなかった。

膝を手当てしてもらってから

私たちは、ぺぺの言う「ラボ」へ向かった。


体育館は、誰にも使用されておらず

冷えきっている。

ヤンキーが、こっちの学校に来ることは禁止されている。

バレないように、慎重に進んだ。


ペペが器用に、扉の鍵をあけて進んでいく。

「あ〜。アタシもあっちの学校ではこうやって鍵をつくって勝手に入ったりしたよ〜」

「おまえと一緒にするな」


ぺぺが、なぜこのヤンキーをつれてきたのか

わからない。

つれてきたわりに、冷たい。


とびらをあけると、グレーがかった靄につつまれた穴があった。

ここを進んで行くらしい。

「ちょっと、猫のからだなら余裕かもしんねぇけどアタシにはキツイぞ、これ」

「たしかに…。私も入れるか微妙…。」


「大丈夫。ここのラボの人間はみんなここから出入りしているんだ。」


どんだけ、柔軟な体の人間がいるのよ…。とも思ったが

自分が思っているほど、穴はせまくなく

すんなりと体を通すことができた。

少し進むと、シンプルで無機質な部屋にたどりついた。

物はほとんどなかった。


「ついに来ましたか〜。来ちゃいましたか〜。」


目の前に現れたのは、

黒いパーカーに髪の毛はもったり重めで

カナリの細身、パンツはスキニーでくつはスニーカー

その上に白衣をきていて、目がみえない眼鏡…のようなものをしている

まるで

芸大生のような風貌の男性がひとりと

そのかげに隠れた、小さな女の子がひとりいた。


「ぼくは、なるべく関与したくないんだけどね。」


小さな女の子が、私のことを見透かすように

直視していた。


ぺぺが、しっぽをふりながら言った。

「この人がこれから、メンテナンスをしてくれる。GO中村だ。」


私は、いつから機械になったのかしら。

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