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オーストラリア5 ココロのミチシルベ

ブランガフェスティバルはあっという間に終わり一同と共に街に戻る。
ああ、やっぱり一箇所にこもりきりというのは、自分に籠る。
街に戻りやはり、ここにいる事へ空きが生じている自分に気づく。


そんな私の心を全てお見通しのような出来事が起こった。

家に帰って、アリスに話があると言われた。
なんだと思った。ちょっとドキッとした。

ドキドキしながら話していると、
明日からもう店は来なくていい。この家も出ていって欲しいと言われた。
彼女はそこまで英語が上手いわけではない。タイ人の英語を喋る人はこのタイプが多いと見ているのだが、店を経営してるほどだから、支障はないのだが、ネイティブ英語に慣れていた私にとって、シンプルな英語すぎて、その心意が掴めないこととがある。そして、丁寧な言い方や柔らかい言い方をあまり知らないかなりダイレクトな英語に聞こえて、キツく聞こえることもしばしある。

だらか思うのだ。
オージーのオーナーに言われるのと、彼女に言われるのと
理由が同じであれ、彼女の言い方はとても突き刺さった。

理由はこうだ。
働き始めてすぐ、マッサージに来ていたお客さんと付き合うことになったが、しばらくして会わなくなった。
なんだか主導権を全て握られているような気がして。付き合うのだったらやっぱり密に連絡を取りたいし会いたいが、彼は結構一方的な感じだった。
私に対して愛は持っていたと思う。船に乗る仕事をしていた彼は、一度陸を離れると連絡がつかなくなる。私が会いたい時に会える感じではなかった。
彼はいろいろ二人の時間を取ろうとしてくれたと思う。家に泊まりにいったり、キャンプや、ご飯や、いろいろ。
なんだけど、彼の力が強すぎて、流される事が多かった。
これからの自分の人生にも大いに言えることなのだが、自分を満足させてあげたり、欲求に気付いて満足させてあげたり…
それができていなかったから、満たされる感じを彼に求めてしまっていた。これは過去の恋愛でも全て同じ事が言えたと思う。
だから、彼の都合の時だけとなると、どうしてもセックスしたいだけの対象なのかと感じてしまう癖があった。
だから、恋愛が最初は楽しいが、自分と相手の境界線が分からなくなり、いつも辛い感情を持つことばかりだった。

まぁどっちが悪いなんて的外れな考え方なのだろうけど。
今なら言える。私は幸せな恋愛の仕方をしらなかった。

話は逸れたが、その彼が私といざこざしたので、店に来なくなった、客が一人減った。だからもう来てほしくない、とのことだ。

私の言い分は、特にない。
先のことなんてわからないのだから。
でも、ショックだった。
言い方がきつかった。
私は自分を責めていた。
これで先に行けるという絶好のチャンスだろうに、ショックが多くて喜んでいられなかった。

今なら自分にこう言ってあげられる。
そうだよね、分からなかったよね。何か言いたいことあったよね。
自分もわかってあげられなかったもんね。辛かったと思う。
でも、いんだよ。自分がそうだと思って行動した結果だ。
私は別の道を望んでいた。
きっとこの事がなければ、ズルズルとまだそこにい続けたかもしれない。だから、これは新しい道に進めのタイミングなんだ。

体も心も痛い思いをして、強制終了がかかることが、その前も後の数年もよくあった。いつも辛く痛かったけど、長い旅路の中で、過去を癒し、楽に楽しく転換できるようゆっくりと進んでいくようになる。



出るしかなかった。
怖いけど、先に進むしかなかった。
私は一人で泣きじゃくった。
これは今だけの痛みではない。
押し込めて、感じないようにしていた湧き上がるほどの悲しい感情だ。
孤独感だ。
この事でスイッチが入ったように、涙を流した。

日本に残した優しい彼は、今ここにはいない。
摂食障害が辛くて、どうにもならなくて、湧き上がる抱え切れないほどの悲しい感情を出させてくれた彼は今ここにいない。
日本で待ってくれている。
だけど、私はもういつになったら帰るか分からない。
これ以上、彼を待たせるわけにはいかないと思った。
大きな安心感や支えをくれた人を手放さないといけないと思った。

告げよう。
何をどうしたいのか、どんな自分になりたいのか、いく先も未来も分からない。だけど、どうしても手放さないといけない気がした。

電話は怖くてできなかった。
だからメールでごめんと、
手が震えながら、涙で画面が見えないほど涙をこぼしながら
もう離れた方がいいと、別れの文章を送った。


返ってきた返事は、「なんとなくそうなるのではないかと覚悟はしていた」という事だった。
返事は相変わらず優しかった。だからもっともっと泣けた。

ごめん、本当にごめんなさい。
だけど、何かを確認しなきゃいけないような、そんな感覚で。
タイから戻らずオーストラリア行きを決意した時と同じようなあつい体感覚。もうそっちじゃないよって。

言葉にできない、理屈じゃない感情感覚を、この頃は抑えることがもうできなかった。


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