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【雑感】リーダーになるよりリーダーシップを持とうという話


新入社員から「リーダー」について質問攻めにあった

先日、とあるIT企業で新人研修を担当させて頂いたのですが、
新入社員の方々から

自分のリーダー像が揺らいでいる
リーダーはどんな振る舞いをするべきなのか
リーダーになったことないため、メンバーのまとめ方がわからない

と、立て続けに似たような質問を頂きまして。。

就職活動という特殊な環境下で、「リーダーになること」を大人から刷り込みされていることが影響しているのかもと感じつつ、
入社早々リーダーを意識するなんて、目指す理想の高さにビックリ。
それだけですごいと思います。

少なくとも、私は新人時代にはそんなことは考えていませんでした。
先日のnoteでもお話した通り、
とりあえず「オレなんでもできるでしょ」
という自己中心的な発想しかありませんでした。
周囲の人間関係に目を向けることはまずなかった記憶です。


「大丈夫!いきなり新人の君が組織のリーダーとして全てを背負って、決断したり部下を率いることはないから!」
と大雑把に答えたくなる気持ちを抑えながらも、、
キラキラした眼差しで率直に質問してくれるので、こちらもきちんと応えないとと思い、私なりの見解を伝えました。

私がお伝えしたことを簡単にまとめると、以下の通りになります。

持つべきは任された役割を最後まで自分自身で全うするリーダーシップ
まずはリーダーシップを行動で示して成果を出す周囲から成果が認められて初めてリーダーになる
自分だけで役割が全うできなかったら、周囲の人に助けを求めたり協力を引き出すのもリーダーシップ
任された仕事に主体的に取り組み、結果にコミットするリーダーシップ溢れるビジネスパーソンを目指してほしい

彼らの求める答えになっていたかは分かりませんが、
自分がどんな役割であろうと、自分の目指すべき成果に真摯に向き合って、周囲の協力を引き出すながら物事を達成する感覚を持ち続けてもらいたい。どうすればその感覚を体現できるのか、それを考え続けてもらいたい。

私が研修で新人の方にお伝えしたい一番のメッセージを彼らの質問にかこつけてお伝えしました。


リーダーとリーダーシップについて改めて考えてみた

この出来事の夜、私なりにリーダーとリーダーシップについて改めて考えてみました。


過去の偉人や経営リーダー達に共通する資質は、様々な本でも語られていますし、
私自身、リーダーシップ研究は割と好きな領域でもあり、主要な書籍は何十冊と読んできました。

様々なリーダーの資質の中で主要な要素が
リーダーはどんなに困難な状況でも、圧倒的な未来へのビジョンを持ち、そのビジョンをフォロワーに示し納得させ、動かす
という点が複数の本でもよく触れられています。

リーダーの資質として語られているこの要素は、
組織を率いて大きな成果を出すリーダーシップの一形態だと私は捉えています。

権限や立場が伴って、メンバーを率いて先頭に立つ特定の場面において、
結果的にメンバーからリーダーと認められているのだと理解しています。

なお、会社組織は本来の役割や責任を各々が全うすべきというあるべき論の中で話していますので、
そうじゃないケースが大半であることも重々承知しています…。

このリーダーシップの認識は、私オリジナルではなく、
コンサルティング会社に在籍していた時のある先輩との会話がヒントになっています。

ある先輩のリーダーシップ論

その先輩との雑談の中で、
「経営者や管理職とか、権限や立場を持つ人は部下を率いて結果を出すリーダーとして振る舞うべき立場だけど、上司も部下も共通して役割に対するリーダーシップは各々持つべきなんだよね。
役割や責任は違うけど、同じ成果を目指す点では対等な立場だからね。
それがないとお互い正直にモノは言い合えないし、心から助け合えないよね」
と話してくれたことがありました。


また、
「リーダーになろうとしてはなれなくて、リーダーシップを発揮し続ける中で、周囲の認識から自然と生まれるものだと思う」
とも。

先輩のお話を咀嚼すると、
リーダーとは周囲が「その人がリーダーだ」と認めるものであり、
リーダーは多くの場合自分自身がリーダーになろうとしていたのではなく、
自分の役割に真摯なだけ

組織内の立場に関係なく、一人ひとりが任された役割に対するコミットメントが強く、成果のために周囲を巻き込んだりするアクションも含め全て、
自分自身の責任を果たす姿勢と行動こそがリーダーシップ。

一人ひとりが強いリーダーシップを持った組織は生産性も高いですし、
立場に関係なく物事をオープンに言い合うので風通しも良い傾向にある、
といった組織研究も多い
です。

どんな知識・スキル・経験を持っていても、リーダーシップの欠けた人は常に自分に主導権がなく、他責であり、他者依存です。
自分で物事や場を動かす感覚に乏しく、相手の言動に反応するため、周囲に流されやすくストレスフルです。

私自身は、このリーダーシップの認識を常に自分の行動規範の中心に据えて、どんな場面でも、自らその場の空気を変えたり、物事を動かすことを心がけて行動してきました。

時にはそれが周囲の反感を買ったり、意見の衝突を生むこともありますが、最終的に成果を出すためには適切な行動だと信じていますし、良いケースに転ぶことの方が圧倒的に多いです。

特に経営コンサルティングの仕事をしている場面では、
クライアント内の役割や立場の影響で忖度に忖度が重ねられて、内部の議論が平行線で進まないケースも少なくありません。
そんな時は、外部者のリーダーシップが物事を前に進めるきっかけになることも非常に多いので、
嫌われ役を買ってでも、オブラートに包まず形にしています。(配慮はしますが忖度はしません)

あくまで私見ですが、「リーダー」にはならなくてもいいので、「リーダーシップ」は常に持った人間でありたいと思っています。
そういう方が会社だけではなくて社会の中に増えていくと様々な変革がもっと進んでいくのではないかと思って、仕事を通じて伝え続けていきたいと思っています。