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財前ぜんざい@オリジナル小説
2022年4月16日 20:42
「はじめまして。紅羽さん」 一つに束ねた髪は片側に寄せ、耳にはシルバーと赤いピアスをしている。優しい目でこちらを見る姿は神々しく、何か大きな力を感じた。 なんて美しい人なのだろう。私は彼から目を離すことができなかった。 「憑依能力者組織へようこそ。私はこの組織を統括している、憑依者No.1の岸浦です。よろしく」 私は大きな勘違いをしていた。組織のトップというから、てっきり年配の人間か
2022年4月14日 19:14
「ここだ」 それまで番号の振ってあった扉とは明らかに違い、組織のトップの部屋にふさわしい高級感のある、重たそうな扉だった。 「本当にいいのか……?」 扉に手をかけた雅臣が、最後の確認のように尋ねてきた。 今まで納得していたはずだったのに、私は最後の最後で心が揺らいだ。この一歩が、私の人生を大きく変えてしまう一歩になりはしないか、と。 「大丈夫です」 私は自分の服の裾を掴み、俯い
2019年6月9日 00:21
私と雅臣は、清水や亜理たちを道場へおいて、先に帰ることにした。どうやったとしても、私はあの場にはいられなかったし、晃ともう一度顔を合わせる勇気なんてなかった。 そんな私の気持ちを察したのか、「もう帰るか」と切り出したのは雅臣だった。 助かった。私は逃げ出したくて仕方なかった。だが、自分から逃げ出す勇気もなかった。こうして、引っ張ってもらわなければ、私は動くこともできなかった。
2019年5月7日 22:34
私が言ったことは間違っていただろうか。 違う。私が言ったことは間違っていない。ただ、私みたいな最低な人間が、あんなことを言ったことが、そもそも間違っていた。私は間違ったことをしてきた人間だ。そんな人間が、他人をとやかく言う資格などない。 道場の中央で楽しそうに会話している清水たちを眺め、私は道場の隅で、彼らからもらったスポーツ飲料を飲んでいた。味なんて分からない。ただ、身体の中