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オリジナル小説「アスタラビスタ」

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人を殺めようとした紅羽を止めたのは、憑依者と呼ばれる特殊体質の男だった。キャラが憑依し合うヴィジュアル小説!
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2018年6月の記事一覧

アスタラビスタ 6話 part4

アスタラビスタ 6話 part4

 突然、部屋中にブザーが鳴り響いた。身体が固まった。電話や玄関の呼び出し音ではない、明らかに警報音だった。

どこで鳴っているのか目で追うと、パソコンの置いてあるデスクの奥に、小さな赤いライトが点滅する機械を見つけた。おそらく、その機械からブザーが鳴っている。

 ソファーで眠っていた雅臣は、ブザーで目を覚まし、飛び起きた。掛けていた毛布が舞い上がるほどの勢いだった。ぼさぼさの前髪は目にかかり、表

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アスタラビスタ 6話 part3

アスタラビスタ 6話 part3

「紅羽ちゃんが雅臣と初めて手合せをした時、俺は紅羽ちゃんの強さに驚いたんだ。雅臣が俺に憑依した時、攻撃は俺の意識が、防御は雅臣の意識が担ってる。その雅臣の守りを破って、君は勝ったんだ。それは、憑依者としての俺と雅臣に勝ったことと同じだ」

 違う。私はただ雅臣と手合せをしただけ。ほとんどお遊びのような、ルールもろくにない、当事者たちだけが満足する手合せだった。

そこには彼らの世界の、憑依者や身体

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