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【翻訳】詩人ローレンス・ホープ その30

叶わぬ忘却
I Shall Forget

見棄てられて久しい不敬な波のそばで
貝が〈海〉の調べに合わせてさらさらと鳴りつづけるように、
貴方に傷つけられ揺さぶられた我が人生に、
しばしその影がとどまる

だが、忘れよう。目にすれば永遠に心を離さず、
〈運命〉または〈義務〉の重圧から退いても
少しの活力を――大切な一部を――奪い去るような
印象深い貴方の美は無理にしても。

愛をささげた私。〈欲望〉をささげた貴方。
嗚呼、あの夏の夜という錯覚かな。
〈火〉のような勢いで貴方の魂が震えたのなら、
〈光〉の波の律動に震えたのは私の魂。

貴方に募る想いが悔やまれる。
だから、忘れよう――他ならぬ貴方は無理にしても。



このたび紹介したのは、ローレンス・ホープの没後に発表された詩集Last Poems(1905年)所収の作品でした。節目の30篇目の訳となりました(50篇で言いたいところですが)。さて、原文はこちらのリンクより確認できます。

この詩人の経歴については、以下の記事でまとめております。


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