【翻訳】詩人ローレンス・ホープ その6
カシミールの詩
Kashmiri Song by Laurence Hope
あの庭園のそばで愛でたのは、蒼白い両手。
そんな貴方は今いずこ。貴方が魔法にかけたのは誰だろうか。
別れという苦しみを遠からずもたらすのに
遠い〈歓喜〉の道に誰を誘い込むのだろうか。
ああ、〈天国〉への扉も、〈地獄〉への扉もつかみ
〈喜び〉と〈痛み〉を私にもたらす、蒼白い肌の者よ。
その手に触れられ、抑えられぬ激情が全身を駆け巡るも
やがて別れの手を振られた。
蒼白い十指の先は、二人が暮らした湖に
浮かぶ〈蓮〉のつぼみのような桃色。
別れを告げられるくらいなら、この首を絞められて
命が砕かれても構わない。
注:シャーリーマール
シャーリーマール庭園(Shalimar Gardens)という名の場所は複数存在。この詩で言及されているもので有力なのは、現在のインドのジャンムー・カシミール連邦直轄領にある庭園と、現在のパキスタンのラホールにある庭園。タイトルから前者との密接なつながりがあると考えられる。一方で、著者のローレンス・ホープが今のパキスタンにあたる地域を旅した経歴から後者との関係も指摘できる。
今回、試訳した詩Kashmiri Songは、楽曲化されて多くの有名歌手に歌われたこともあり、ローレンス・ホープの作品のなかでも名高いものです。
※5月19日に変更を加えました。
以下に、その楽曲版の詩の試訳も掲載します。Wikipediaで比較ができますが、楽曲版は原作よりも簡潔な仕上がりになっています。
Kashmiri Song by Amy Woodforde-Finden
カシミールの詩
あの庭園のそばで愛でたのは、蒼白い両手。
そんな貴方は今いずこ。貴方が魔法にかけたのは誰だろうか。
別れという苦しみを遠からずもたらすのに
遠い〈歓喜〉の道に誰を誘い込むのだろうか。
あの庭園のそばで愛でたのは、蒼白い両手。
そんな貴方は今いずこ。そんな貴方は今いずこ。
蒼白い十指の先は、二人が暮らした湖に
浮かぶ〈蓮〉のつぼみのような桃色。
別れを告げられるくらいなら、この首を絞められて
命が砕かれても構わない。
あの庭園のそばで愛でたのは、蒼白い両手。
そんな貴方は今いずこ。貴方のかけた魔法は今いずこ。
詩の原作者ローレンス・ホープについては、次の記事で詳しくまとめております。ご関心がございましたら、こちらもご一読ください。
楽曲化された詩がどのように歌われているかをご覧になりたい方は、こちらの動画をご確認くださいませ。(日本における、または日本人による歌唱の例も確認したいものです。)読んで下さった方に、深謝申し上げます。
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