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【翻訳】詩人ローレンス・ホープ その34

たどり着けないところへ(マホメッド・アクラムの嘆き)
To the Unattainable: Lament of Mahomed Akram

空から〈黄金の星々〉を手にできれば、あなたの首飾りを彩り、
薔薇の木を揺さぶってあなたの眠りを薔薇の葉で促したのに。

けれども、不要だった。そのまどろみには、かぐわしい短草で事足りて、
黄金や首飾りはつまらぬものだった。

夕暮れになると、追憶にあふれた刻がやって来て、
ある花が私を不安に陥れる。その香を、あなたの髪が漂わせたから。

迂闊にも、あなたが私の無用な情熱を避けるように彷徨わなければ、
あなたのために〈青春〉を、その希望と約束とともに使いはたしたのに。

あなたを呼び戻す言葉のまったく分からない私が、語ったところで何になろう。
願わくば〈時〉よ、あなたと、その〈無慈悲〉と、私に〈忘却〉を悟らせよ。



上掲いたしましたのは、ローレンス・ホープに詩壇デビューを飾らせた詩集であるThe Garden of Kama(1901年)所収の作品です。原文は、こちらのInternet Archiveのリンクからチェック可能です。

なお、マホメッド・アクラムという人名ですが、この名に似た人物が1名います。現在のアフガニスタンにあたるバーラクザイ朝の創始者であるドースト・ムハンマド・ハーン(1793~1863)の息子の一人が、ローレンス・ホープが参考にしたと思わしき人物だと言えます。

架空の男性名を使ってこの詩のオリジナルを執筆した、ミステリアスな女性詩人の経歴につきましては、こちらの過去記事をご覧くださいませ。


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