日本人が暗号資産でドバイ不動産を購入する方法と注意点
今回は、ビットコインなどの暗号資産でドバイ不動産を購入する際の方法と注意点を解説します。「ドバイの不動産は暗号資産で買える」という話を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか？ 一部の不動産仲介業者が宣伝していますが、全てが正しい情報ではないためこの記事を執筆することにしました。
この記事はこんな人に向いています
✅ 暗号資産でドバイ不動産を購入したい人
✅ 暗号資産をただ保有しているだけの人
✅ ドバイ不動産の購入を考えている人
暗号資産でドバイ不動産が買えるの？
「ドバイはビットコインで不動産が買える」という話を聞いたことがあるでしょうか。確かに、ドバイのデベロッパーの中には暗号資産を支払い手段として受け付けている会社もあります。
「暗号資産で家が買えるのか」という質問の答えは「一部はYES」です。ドバイの不動産デベロッパーの一部は、暗号資産を受け入れていることは事実です。
しかし、実際に日本人がドバイ不動産を暗号資産で購入する際、ドバイでどのように処理されいるのか、買主側にどのような注意点があるのか、ドバイの不動産エージェントも十分に理解・説明できていない可能性があります。
暗号資産でドバイ不動産を買ったときの裏側
もし、あなたがドバイ不動産の支払いをビットコインで支払った場合、デベロッパー側は何をしているでしょうか？
オフプラン物件の場合、デベロッパーは買主から受け取った資金はエスクローアカウントで管理しなければなりません。そのため、デベロッパーは受け取った暗号資産をUAEディルハムに交換します。
暗号資産の大口取引の交換は、通常は取引所のOTCデスクでおこないます。もちろんデベロッパーとは異なる会社ですので、取引所での交換時は手数料がかかります。不動産となると金額か大きくなるため、取引所は大きな金額の法定通貨や暗号資産を仕入れる必要があります。取引や通貨によって、手数料も異なります。
暗号資産のOTC取引の手数料は3~5%程度です。不動産仲介もしくはデベロッパーがこの手数料を上乗せします。
暗号資産を受け付けているデベロッパーとして、下記のようなデベロッパーが有名です。
DAMAC
MAG
DANUBE（USDT）
AZIZI
一方、暗号資産払いを受け付けていないデベロッパーも存在します。ドバイ最大のデベロッパー EMAAR は暗号資産での支払いは受け付けていません。
そのため、EMAARなどの政府系デベロッパーの物件を暗号資産払いしたい場合は、仲介業者に交換を依頼することになります。
ドバイ不動産を暗号資産で購入するときの注意点
取引にかかる費用
一つ目は、取引費用です。
先ほどの通り、銀行チェックなどの支払い方法ではかからないはずの交換手数料がかかります。
ドバイ不動産の売買取引
- 物件価格 × 4%（登記移転費用）+α
- 物件価格 × 3~5%（暗号資産交換手数料）
各種の手数料がかかります。オフプランでデベロッパーから購入する場合、物件価格の7~9%程度の手数料がかかることになります。
3~5%の暗号資産の手数料と銀行送金手数料や手間コストのどちらが安いのか、判断する必要があります。
ドバイ不動産に限らず、暗号資産を使う時には税金面で注意することが多々あります。
日本居住者の場合の税金
日本で税金を納めるべき人が、ドバイの不動産を暗号資産で購入する際、不動産の購入時に暗号資産を利確したとみなされます。その暗号資産の購入時よりも価格が値上がりしている場合、値上がり分が課税対象となります。
仮に、1BTC = 500万円で購入した 10 BTCだけを持っていて、1BTC = 1000万円の時に、ドバイ不動産を 1億円 で購入した場合、10BTCを5000万円で購入し、1億円になった時売っているので、5000万円の利益に対して課税対象となります。正確には基礎控除などもありますが、個人へ5000万円に対して所得税・住民税となった場合、ざっくり55%が課税されてしまいます。
🚨 私は聞いた話ですが、「暗号資産をそのまま使えるクレジットカードを作れば、暗号資産を法定通貨に交換しなくても使える！」というようなサービスでお金を集めているインフルエンサーがいるようです。クリプトのクレジットカードだろうがなんだろうが、結局使っていることに変わりありません。
暗号資産を何かモノやサービスに交換した時点で、日本では利確とみなされて利益が出ていれば課税対象になりますので、注意しましょう。
日本の非居住者になった場合の税金
日本の非居住者となった場合、ドバイで暗号資産を利確しても課税はありません。もし暗号資産で不動産を購入したい場合は、完全に非居住者になってから購入することをお勧めします。
住民票を抜いてドバイに住めば無税と言っているインフルエンサーもいましたが、そういう人は住所というシステムと、税金というシステムを勘違いしています。
日本で税務上の非居住者として認められるか否かは、総合的に判断されます。海外に移住し、183日以上その国に滞在することが一般的な最低条件の一つです。
※ UAEには税務上の居住者の要件も定められています。このあたりを説明できる日本人の不動産エージェントがどのくらいいるのかわかりませんが、非常に重要な要件です
ドバイ不動産を暗号資産で購入するメリット
私個人としては、日本の居住者の方が、個人で保有する暗号資産を使ってドバイ不動産に投資するメリットはないと考えています。
理由は、先ほどから説明している通り、手数料が高くなることと税制面の問題です。
日本法人で暗号資産を保有されている場合、売却によって利益が出たとしても事業による損で相殺できますので、そうした戦略的な売却であれば使えるタイミングはあるかもしれません。しかし、不動産は水ものですので、そんなに上手いタイミングでいい物件が買えることは難しいと考える方が自然です。
一方で、日本居住者が暗号資産でドバイ不動産を購入するなら、こうすればいいという方法もあります。日本での課税はなく、ドバイの不動産に投資ができます。
税金のために利確ができず、暗号資産の価格が上下するチャートをただ眺めているのに飽きてしまった人は、ドバイに不動産投資をするのもポートフォリオの一つに良い選択肢だと私は考えています。
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