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いちばん怖いこと (徳島宿プロジェクト)

敬愛する歌人・穂村弘さんのエッセイ本「鳥肌が」を読んでいる。
日常の中に潜む、よく考えるとちょっと怖いなというような出来事を独自の目線で拾い上げていて、なかなか面白い。

たとえば、コンビニで手に取ったものをひっくり返すと、ずらっと並んだ原材料の名前が単純におそろしいとか。(カラギーナン、ソルビン酸K、アゾ色素・・・)
食品に関する知識があまり無いので、カラダに悪いのかどうかの判断はつかないが
見ているだけで恐ろしくなるという気持ちは分かる(笑)

やっぱり一般的に怖いとなると「死に対する恐怖」ということになるのだろうか。

60年も生きていると、その恐怖は少しづつ減って来ているような気もする。
若い頃は、まだ何も成していないのに死ぬなんて考えられないという感じで恐怖心が強かったのだろうけど、今は人生の終盤という気持ちも芽生えてきて、死に対する恐怖というよりも、これから先に訪れるであろう変化の無い有り余る時間を、やることも気力も無くして、ただやり過ごすといった暮らしを送ることに対する恐怖の方が先に立つ。

実はそんな思いもあって、「宿をやる」という選択をした。


民泊なんて簡単だとタカを括っていたが、思っていたより補助金申請や許可取りに手間取って、思うように進まない待ちの時間をうまく過ごせない自分に、そんなことでこれから先の冗長な時間に対処できるのかと、逆に不安になったりもした。

この歳になると、将来のために今があるのではなく、今あることがすべてで、あるがままを受け入れ、もっともっと今を楽しむことが大切。頭の中では分かっているつもりでいるけれど、まだまだ楽しめていないのも事実。これはまさにこの世とおさらばするその瞬間まで、永遠のテーマとなりそうだ。

小鳴門海峡と小鳴門大橋

いよいよ改装が始まるということで、倉庫暮らしとも一旦お別れ。倉庫内に散らばった生活用品を片付けにやってきた。改めて、必要なものとそうで無いものを仕分け、駐車場に設置してあるコンテナに荷物を移動。

宿の開業に向け、この改装工事期間をどう有意義に過ごすのか、改めて自分が試されているような気分になってきた。まあ、まずはあまり肩肘張らずに、GO TO割引なんかをうまく利用して、旅行がてらいろんな宿を視察に行くのもいいかな。


いくら立ち止まってもいい、
一番怖いのは、歩き始めなくなることだ。

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