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2拠点生活のススメ|第54回|思い込みという狂気

毎朝のんでいるカップスープが無くなったので、業務スーパーで30袋入りの箱を買ってきた。

朝いつものようにお湯を注ぐと、なにか違和感が。出来上がったポタージュスープの色がいつもと違い、変色しているような気がする。

あれ、不良品? 古くて品質の悪い物を買わされた、とっさにそう思った。えー、箱買いしたのに最悪・・・。

店にすぐ文句の電話をしそうになったが、そのとき昔の嫌な記憶が甦る。

一旦落ち着こう。

そっと匂いを嗅いでみる・・・異臭は無し・・・

恐る恐る飲んでみると、コーンの味。そこで、初めて間違いに気が付いた。そうかこのスープ、実は別の種類があったんだ。勝手に1種類と思い込んでた。

思い込みというのは怖い物で、自分の落ち度などまったく考えはしない。ほんと、電話しなくて良かった。また恥をかくところだった。

戒めのために、きょうはその嫌な記憶を掘り起こしてみる。


光ファイバー恫喝事件

もう随分前の話だが、世の中に家庭用の光回線が普及しだした頃。

当時、自宅を事務所にしており、ネットが早くなるならと思いすぐに契約。すぐ工事というわけにはいかず、指折り数えて工事日を待っていた。

数ヶ月の待ち時間があって、ようやく工事の日。家の前にバケット車がやってきて電信柱から光ケーブルを家へと伸ばす大がかりな工事が始まった。

部屋の中に作業員が入ってきて、光回線を通す場所などを決める。なにぶん初めてのことなので、どのように線を通すのかと気になって作業を見守っていた。

壁にドリルで小さな穴を開け、そこに電柱から伸びてきた線を直接通す。

えっ、それだけ、大丈夫なの?

何か電話線のコンセントみたいな物が壁に装着されるとばかり思っていたので、何かしらの不信感を持ち始める。

最先端技術のように感じていた光回線が、壁に穴を開けるだけだなんて・・・。

そんな思いとは無関係に作業は粛々と進む。線がモデムに繋がれ、モデムから作業員のパソコンへ繋がれ、回線が正常に動くかのチェックが始まった。

「これで大丈夫です。問題無く接続が完了しました。コチラにサインを頂けますか」作業員に促され、ある種のわだかまりを感じながらも、サインをする。

工事の方々が引き上げて、実際自分のパソコンと回線を繋ぎ、各種設定を行った。大丈夫、繋がっている。一安心していったんお昼ご飯を食べることにした。


食後に再びパソコンを立ち上げると、エラー表示が・・・。

設定を何度も見直してみたが繋がる気配が無い。なぜ?・・・先ほど感じた不信感が再びムクムクとわき上がってきた。

回線業者に電話を掛け、事情を説明。しかし、いろんな部署をタライ回しにされ、結局設定をやり直せの一点張り。不毛なやりとりが続き、イライラもピークに。

今日の工事のことなので、すぐ見に来てくれと何度も懇願するも、工事関係のスケジュールが詰まっており、数週間先でないと来れないとのこと。

さすがに、押さえていた怒りが頂点に

「いったいおたくはどうなってるの、責任者を出せ」と電話口で怒鳴りつける。

すると、私の大きな声にビックリした猫が、机の下から飛び出してきた。

ひょっとして・・・

恐る恐る机の下を覗いてみると、悪い予感が的中。

新品の光回線がガジガジに囓られていた。あちゃー犯人は、うちの猫かよ〜。そういえば、工事の人が帰ってから、机の周りをうろちょろチェックしてた。

仕方が無いので、渋々そのことをオペレーターに伝えると、「あーねこちゃんが・・・そうですか」と半ば安心した声。

目茶苦茶恥ずかしいんだが、罰が悪すぎて、怒りをうまく処理できない。

「回線の処理って、壁から丸出しというのが普通なんですか? もう少し何とかならないんですかね。」と強気な発言をしてしまった。


それから数日後、作業員が再びやってきた。

回線を繋ぎ直し、親切なことに堅めのビニールパイプで光回線を保護してくれた。

「これでもう猫ちゃんが囓っても大丈夫ですよ〜。」

内心は、とても感謝しているんだけど、猫にちゃんを付けられたことが妙に引っかかる。クソー、素直にありがとうが言えない。

やっと出てきたのは、ご苦労様という言葉だけ。なんて器の小さな男なんだ。ちゃんと顔を見て、感謝を述べるべきだったのに・・・。


思い込みというものは、ほんと恐ろしい。

自分に非があるにもかかわらず、相手を罵倒するなんて、きっとあのやり取りは録音され、オペレーターの新人教育なんかで使われているんじゃないだろうか(笑)

腹を立てる前にまず、落ち着いて現状をしっかり把握する。

ほとんどの場合、自分の思い込みということを忘れないようにしよう。

この事件は、大きな教訓となった・・・ホントに???。

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