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機能体を強くするアドラー心理学

平日、コンクリートジャングルに囲まれているせいか、学生時代よりも自然の中に身を投じて何も考えない時間を求めるようになった。毎週週末になると、「東京近辺 自然 カフェ」でググり、キュレーションメディアにまとめられたカフェの中から"ここに行きたい!"を探す。
今週はあきる野市にある「水の音」というカフェに行ってきたんだけど、コーヒー飲んで、水切り
して、読書して、鍼林浴ができる素敵な場所だった。また行きたいなぁ。

そんな木々に囲まれた中で、今週は3冊の心理学入門書を読んだ。4月に読んだ組織・
集団論から、個人の行動を決定する無意識はどんな心理が働いて形成されているのか学ぶため。
知識ゼロから考えた素人なりのまとめと印象に残っている部分について今週は書く。

1. 心理学の中でも、最近ビジネスの中に応用されているあの心理学

ビジネスマンの中でもっとも流行っているのが「アドラー心理学」。ウィーン生まれのアルフレッド・アドラーが蹴り出した理論で、実は心理学の歴史的にはまだまだ新しいものである。
アドラー心理学は対人的なコミュニケーションや組織文化形成など教育分野、組織-人作りに大きく貢献している。その思想は、"人をアメとムチでコントロールするのではなく、人間の無限の可能性を引きだす"ことを前提に理論立てられている。

具体的にビジネス現場でどう利用されているのか着目する。例えば新卒一年目、企画職のS君がプロジェクトを期日内に完了できなかったとする。その時にS君に対して、「なんてことをやってるんだ!」と、怒りながら原因追求をするのがフロイト心理学。「S君に期待していたから、プロジェクトがうまく進まなかったことが悲しいんだ。次、期日通りにプロジェクトを進めるためにどうする?」と、悲しみと共に本人に未来的な思考を促すのがアドラー心理学。

この思考法が、近年あらゆる会社で実践され始めているのは、個人主義そして人材流動性の高まり、ミレニアム世代の組織加入といった時代背景が大きく関係している。理不尽さや、厳しさ、叱責に対して耐性が無い人間にとっては、過去を追求されるよりも、未来的にどう改善されるのか上司が考えてくれた方が「失敗できる」安全性が高まるためだ。嫌なことがあったら他の会社にいつでもいけてしまう。そんな時代だからこそ、その人を傷つけることなく、どうしたら成長を促せるのかがますます重要である。

2. メンバーとのコミュニケーションで細部に溢れ出るアドラー心理的思考

ここで、上述したS君に対する声のかけ方を分解してみよう。ポイントは3つある。
「S君に期待していたから、プロジェクトがうまく進まなかったことが悲しいんだ。次、期日通りにプロジェクトを進めるためにどうする?」

1. "怒り"と共に伝えるのでなく、怒りが生まれた根源の感情と共に伝える。
 アドラー心理学では、"怒り"は二次感情であり、一次感情(寂しさ、悲しい、悔しさ)に立ち返って伝えることが相手への共感を生むとされている。

2. S君本人ではなく、S君がとった行動に対して述べる。
 怒る、叱る行為は言葉を慎重に選ばなければならない。人は人格そのものを否定されたと考えてしまいがちだからだ。行為自体に着目することで、本人が立ち直るスピードも上がる。

3. 原因を追求する過去志向ではなく、次どうするのか、未来志向で考える。
 起きてしまったことの原因を探すことは、当人の次の行動に繋がりにくい。あくまでも次の行動起点でどうするのか、これから起きうる事象に対してどう取り組むのかを考えることで背中を押してあげる。
このように、コミュニケーションにおいてアドラー心理学を応用するには1単語1単語に気をつける必要がある。無意識的に実践するためには、まずは自分自身の思考法を習慣から改善していくしか無い。

3. 機能体に求められる共同体的側面

参考書籍を読んでいただければ分かるが、アドラー心理の真髄は、勇気づけから共同体感覚を生み出すことであり、1. でも述べたように、個人主義が進んだ現在の社会的潮流と相性の良い学問である。
特に今あらゆる会社でエンゲージメントの重要性が叫ばれている今日、企業という機能体に共同体感覚を最低限備え付けることの重要性を実感した。一方で、共同体感覚は特に日本文化と相性が良い。日本人は合理的よりも情理的に動く色が強いからだ。米国やヨーロッパ、それぞれの国、大陸文化と相性が良い組織風土が各国で推奨されてきたが、グローバライゼーションが急速に進み、文化的背景が異なる人々が同じ空間で働く今日、何を軸に会社文化を創っていくのか。各会社の経営者の志の大きさが問われている。

最後に

今後、心理学はビジネスのあらゆる場面で重要視される。生活が豊かになりモノ・情報が溢れた社会の中で、人が何かを選択するまでのジャーニーをより具体的にデザインすることが必要不可欠になってきているからだ。
ただし、学術的に理解したものを無理やりビジネスにあてはめようとしてはいけない。その理論に当てはめることが目的化し、本来の目的を見失ってしまう恐れがある。学問とビジネス、双方向的に形を変え続けるものだと前提を理解した上で、これからも学び続けたい。

参考書籍・Webサイト


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