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赤福を最後にギュッと握る仕事

 近頃、呼吸が苦しい。一日中苦しいのではない。国道沿いのコンビニの駐車場に空いた穴ぼこのように、生活の中でふいに、吸っても吸っても酸素が脳に回ってこない、そんな瞬間がある。多々ある。肺いっぱいめいっぱいに溜め込んだ空気は、ほんとうの意味で空の気であり、得るものはなく学びもなく、吸う前と同じ成分のものをそのまま吐き出すしかなくなる。これが俗に言う、やりきれない苦しみ。

 2週間ほど前からそうだ。タバコを吸いすぎるきらいがあるのだ。生活がそうさせるのだ。無為な営みが俺を崖っぷちへ追い込むのだ。喉にタンが絡まりまくり、誰か俺の気管をオナホと間違えてローション注いでんのか、と勘違いするほどにタンが次から次に喉奥から溢れ出る、178cm78kgの慎ましいゆるふわボディのどこにこれほどまでの量の痰を秘めていたのか、試験管を洗う細長い毛虫のようなあのブラシを突っ込んでこそぎ洗いたい気分で今はもうお腹いっぱいごちそうさま」と言いながら幕の内弁当を3分の2残して箸を置くおばあちゃんのごとく、というわけだ。それでも、タバコの他に代替するものがないので、仕方なく吸い続けているうちに、前述のようなことになってしまった。タバコの代わりに飴をしゃぶろうが、酒を流し込もうが、それは飴であり酒である。結局、タバコを吸わない世界を生きていることから逃れられないんだから尚いっそうタバコを吸う世界の俺へのあこがれと苛立ちはつのる、イライライライライライライライライラの冒険 〜黄金の羅針盤〜

 明日は午前半休をとったので、病院に行くのだ。大人になってから、俺はどうも自発的に病院に行くことが増えたね。行かされるものだったのが、訪れるものになったのだ。30歳を超えると体にガタがくるとはよく聞くが、いくらなんでも来すぎだろ。来生たかお。



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