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コロナ下での病院の「カイゼン」 2

前回の記事でコロナ下での病院の変化について触れました。

簡単にまとめると
コロナの感染防止のためにサービスを縮小させた後の動きで病院の質が分かる、というものでした。

ある病院はサービス再開を企画するも資源、ヒト、モノが揃わず断念しました。ある病院はサービス縮小による経費削減、人的資源の削減を行うことができたと喜びました。

この2つの病院がたどる今後の道は大きく異なるだろうということをお話しました。

今回から数回に渡ってその理由についてキシの記事を参考にしながらお話しようと思います。

まずは最近導入する病院が多くなっているKPIからお話しようと思います。

1. 医療現場でどのようにKPIが導入されているのか

医療職の方はもしかしたら医局や看護師控室、事務室の壁に「1日目標入院数」、「1日目標救急患者数」などの掲示を見たことがあるかもしれません。

病院によってはそれらをKPI(Key Performance Indicator 重要業績評価指標)としています。

御存知の通り KPIはKGI(Key Goal Indicator)をベースに設定されますが、KGI を知らされることなくKPI のみが掲示されています。

多くの医療者は KGI というものを知りませんから「1日目標入院数」「1日目標救急患者数」を掲示するだけで良いのかもしれません。

しかし、現場がこの掲示をみても「( ゚д゚)ポカーン」です。

これまで意識している医者や看護師を見たことはありません。
事務の前では意識している素振りをしていても本気で達成しようと思っている人はいません。いるとしたら診療科部長くらいでしょうか。

そもそもこれらの数字は、医療者がどうこうできるものではありません。

もちろん医師のさじ加減で入院数を増やすことはできます。十分に帰宅できるような患者さんでも面倒な入院処理と手続きに目を瞑って
「このまま帰るのは心配でしょう。1泊様子をみて帰りますか」と言えば大概の患者さんは入院してくれます。
病院によっては、1人の入院につき○○円とインセンティブがつくこともあります。

ですが、そうやって入院させて得られる病院収入はわずかです。しかも、医療の本質から外れるため医療者のモチベーションは大きく下がります。

医局員はカンファレンスのたびに部長から「入院が減っているから増やせ。救急の受け入れを必ずしろ」と言われ辟易します。
少し話は逸れますが、診療科部長は基本的に年功序列で決まっています。
マネジメントやリーダー研修をしている病院もありますが、多くはそのような研修を経ることなく部長になっています。

部長が病院の意図を汲み取って良い感じに医局員のモチベーションを上げて地域で評判の良い病院になる、というのは妄想です。

多くの部長は愚直に予算を達成しようとします。
達成の方法はひたすら医局員に命じるのみです。そこにプロジェクトマネジメントやリーダーシップなどが入る余地はありません。予算が達成できるかどうかは運です。

少し視野が広い部長は周囲の病院や消防署に営業に行きます。
うちに紹介してください、うちに搬送してください、と頼んで回ります。
どう考えても医師の仕事ではありません。
しかもその行為により患者数が減少した病院は同様に頼みに回るという悪循環が出現します。

90%くらいの部長はここで思考が停まります。
多忙を極める部長職ですから致し方ありません。

病院と現場、という対立構造を煽るつもりはありませんが、目先の目標を掲げるとこうなります。

患者さんに選んでもらう病院になる、これがすべてだと思います。

言うは易しと思われるかもしれませんが、そのためにできることはたくさんあります。2021年になっても病院の経営方針というか経営のスタンスは非常に遅れていると感じています。

そもそも院長がこれまで経営のトレーニングを受けたことがない医師で大学や医局員の持ち回りである点で仕方がないのかもしれませんが…。

記事が長くなったので対策については触れません。
もし興味があれば最下部の問い合わせからメールをお願いします。


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