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演技の基礎

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プロの俳優を目指している方のために、基礎的な知識とエクササイズをかきました。もちろん現在も活躍されている俳優の方も、自分の考えと照らし合わせて読んでください。
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#マイケルチェーホフ

演技は人から学べない、演技は自分の体から学ぶ

演技は人から学べない、演技は自分の体から学ぶ

 演技は人からは学べません。演技はクラシックバレエ、日本舞踊、狂言などとは違って型ややり方がありません。そうした伝統的な表現には、初心者のレベルともなれば、その技術には明確な間違いがあります。
けれど演技は他の役者や先輩を真似てみても、何か不自然で表面的な表現になってしまいます。また先輩や演技講師から、言い回しや動き方を教えられても、そこに自分なりの意味を見つけないと、中身のない表現になってしまい

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感情と身体感覚のリンク:からだことばを使った演技トレーニング

感情と身体感覚のリンク:からだことばを使った演技トレーニング

「あのデアゴスティーニが喉から手が出るほど欲しい。」、「店員は鼻息を荒くして期間限定商品を勧めてきた。」、「彼の指摘を聞くのは耳が痛い。」などの文章は、実際には体は動かしてないけれど、感覚や内的な動きを通して意味を生んでいます。私たちはそれを頭だけでなく、身体感覚を通して直接的に知ることができます。
 こうした身体と心がつなげ意味を作り出している慣用句をからだことばと言います。こうした慣用句で私た

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真実は心と身体のどちらからやってくる?

真実は心と身体のどちらからやってくる?

 映像や舞台の世界の中で自分が演じる役が、その存在を違和感なく信じられることは、どのようなジャンルや作品にやるにせよ、必要になってきます。演じている本人にもとっても、観客からも役が生きていると信じられる演技を「真実」であると形容されます。外からも内からも演技が真実であると作品を楽しむことができます。
 ではそうした「真実」と言われるような演技にはどのようにたどり着けばいいのでしょうか?またそうした

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能力を妨げ、誤解を生む演技の「癖」

能力を妨げ、誤解を生む演技の「癖」

 セリフを言うときに前のめりになる、演技をしていて肩に力が入ったり瞬きが多なったりする、相手から目線を外してしてしまうなど、どの俳優には必ず多かれ少なかれ癖があります。また決まったパターンの演技をしたり、言い回しに頼ったりするのも俳優にとって習慣化した精神的な癖と言えるでしょう。
 ここでいう癖は、朝は早起きして読書をしたり、何の苦も無く常に深い呼吸ができたり、相手と自然と目を見て会話できるといっ

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役の力関係「ステータス」

役の力関係「ステータス」

 関東を中心に演技を教えている秋江智文です。専門はマイケルチェーホフ演技テクニックですが、どんな俳優でも必要だと思う、演技の基礎についてお伝えしていきます。

芝居におけるステータス

 王様が信頼していた家臣に裏切られる。馬鹿にしていた部下が出世して追い抜かれ逆の立場になる。子どもだと思っていた息子に助けられる。
 芝居の登場人物にはステータスが与えられ、これが芝居中に逆転したり、人に譲ったり、

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