【自己紹介5】子どもの心の専門家を目指すことにした理由
こんにちは、=Dr.NK=です。
5つ目の自己紹介の記事になる今回は、
小児科医になった僕が、
なぜ、専門をメンタルヘルスの分野にしたのか、
つまり、なぜ子どもの心を診る小児科医になることを決めたのか、
について書いていきたいと思います。
・生まれと育ち〜高校まで
・大学時代〜研修医になるまで
・なぜ外科医になることを諦めたのか
・なぜ小児科医になると決めたのか
については、このマガジンを読んでください。
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感染症の時代から、がんの時代、そしてメンタルヘルスの時代へ
僕が研修医の1年目から2年目に上がる年、
小児医療において、革命的な出来事が起こりました。
Hib(インフルエンザ菌)、肺炎球菌の予防接種が定期になったのです。
予防接種に馴染みのない方のために説明すると、
予防接種には
・行政が費用を援助することで無料で行えるワクチンと、
・親が費用を負担して行うワ有料のワクチン、
2種類あります。
無料・有料、どちらも重要なのですが、全ての家庭に経済的な余裕があるわけではないため、当然ながら、有料のワクチンの接種率は下がることになります。
そしてもう一つ、このHib(インフルエンザ菌)と肺炎球菌は、3歳くらいまでの子どもの感染症の中で、最も重要な細菌で、僕が研修医1年目に担当した入院患者さんの多くは、この2つの最近感染でした。
しかし、2年目に入って予防接種のルールが変わり、
この細菌の感染症による入院患者さんは激減しました。
もう本当に暇になったのです。
そこで、僕は理解しました。
医学・医療技術の発展に伴って、医者の仕事はなくなる、と。
そして、もう一つ、
医学・医療のトレンドは変わる、このことも僕は理解しました。
僕の理解では、近代医学の始まりは感染症との戦いだったのだと思います。
黒死病(ペスト)・スペイン風邪(インフルエンザ)などが世界的に猛威を振るいました。
その後、感染症と戦うための抗生剤の成分であるペニシリンが発見されるなど、
医学の歴史の中心は、確かに、感染症との戦いの歴史でした。
そして、感染症に代わり、現代の医学の中心にきたのが、
がん・悪性腫瘍だと思います
手術の方法・抗がん剤の開発が進み、がんの治療成績は管理良くなってきています。
しかし、僕は思ったのです。
多分、がん・悪性腫瘍が主役の時代は終わる。
感染症→がん・悪性腫瘍と来て、次はなんだろう?
僕なりに出した答えがメンタルヘルスでした。
メンタルヘルスの問題はまだ人類が解決できていない、
だから、この分野を選べば、自分も必要とされるんじゃないだろうか、
そんな考えが僕にはあったのです。
40年働くことを考えての、メンタルヘルス
そして、メンタルヘルスの分野を考えた2つ目の理由が、
医師として40年働くことを考えた時に、この分野なら続けられるんじゃないか?
と思ったことでした。
僕は研修医として外科の先生たちを見た時、
僕にはできない、少なくとも40年続けられない、と思いました。
そして、それと同じことを小児の循環器・集中治療の先生たちに感じていました。
(【自己紹介3】外科医になるのを諦めた理由;参照)
・家族を犠牲にしながら働くことはできないし、
・40年間、この激務に耐えることができない、
・続けられたとしても、60歳になって目が悪くなって、体力がなくなっていく自分が第一線の医者でいることは難しいだろう、
そう思ったのです。
そこで出てきた選択肢がメンタルヘルスの分野でした。
メンタルヘルスの分野であれば、循環器・集中治療のチームよりは自分で自分の働き方をコントロールできるし、
何より60歳になっても、そこまでの知識や経験を活かして働くことができる、
そう思ったのです。
家族も犠牲にせず、役に立てる自分でいたい、そんな考えが僕にはあったのです。
虐待を受けた、ある少年の言葉
最後の理由が、患者さんとの出会い・言葉でした。
その子は当時まだ幼稚園生で、小児科医2年目の僕は主治医として入院したその子の担当をしていました。
その子が入院した理由は両親からの虐待・親からの保護、でした。
その子は数日後には、乳児院に行くことが決まっていて、
僕がその子の主治医をするのは退院までの数日でした。
僕は「自分がこの子にできることは何だろう?」と考え、
実際に、その子に「何かして欲しいことってあるかな?」と聞きました。
その子は「夜が怖いから、僕が寝るまで、横にいて、数字を数えてほしい。」そう言いました。
そして、病棟の電気が消えて、部屋が暗くなり、
僕は彼のベッドの横の椅子に座って、
「1、2、3、4、、、、」と数え出しました。
すると、黙っていた彼が、モニターに映る、自分の心拍数を見て、こう言ったのです。
「あの数字がゼロになったら、僕、死んじゃうんでしょ?」
僕はびっくりしました。
・小学生にもなっていない子が、死の恐怖を感じていること、
・そして、その恐怖を言葉にできる凄さ。
この両方に感動したのです。
子どもの心は率直で、そして、余りにも弱く苦しい。
そんなことを思いました。
力になりたいと思いましたし、
一生できる仕事だと思いましたし、
それ以上に、おもしろい仕事だ、そう思ったのです。
それが僕が子どもの心に関わる小児科医になった理由ですし、
なってよかったと思っている理由です。
ここまで読んでくださってありがとうございました.
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