見出し画像

【意味がわかると怖い話・12】公園デビュー

産まれてはじめて子どもを公園へと連れて行く。
私にもママ友ができるかな?
うちの子と同じ年生まれの子はいるだろうか?

私は少しの緊張と、期待を胸に子どもをベビーカーに乗せて公園へと向かう。

家からやや離れた場所にある公園だが、広く様々な遊具やオブジェ、花や木に囲まれた良い場所だ。

張り切って早く家を出たこともあり公園内にはまだ人の姿は見られなかった。
まあ、時間はあることだしいずれ人々もやってくることだろうと公園内を散策してまわることにした。

しばらく進んでいると3歳くらいの女の子と手をつなぐ女性を見つけた。
私は緊張しながらも思い切って話しかけてみることにした。

「あ、あの……こ、この公園にはよく来られるんですか?」

女性はあまり人と話すことが得意ではないタイプのようであったが、私が話をしていくと徐々に心を開いてくれたようで色々と話をしてくれた。

娘と毎日公園に来ていること、娘が3歳になったばかりであること、旦那さんはおらず母子家庭であることなどだ。

私も産まれたばかりの我が子を紹介したり、育児の悩みなども話をすることが出来た。

やはり思い切ってこの公園までやってきて良かったと思った。

そろそろ帰ろうかと思っていたところで、ふと誰かに声をかけられた。

「お母さんちょっといいですか?」

振り向くと警察官が2人立っていた。

「お母さんここの近所の方ですか?」

警察官がどうして?と思いながらも私は公園デビューに家から離れたこの公園を選んだことを伝えた。

「そうですか……」

警察官が言うには公園内に不審者が現れるとのことで注意するようにとの事だった。
そうか、確かに公園内に来るのは普通の人ばかりじゃないかもしれない……私は心配する警察官に感謝を伝え家へと戻ることにした。

それにしても今日は良い出会いがあってよかった。
あのお母さんは毎日、娘さんといると言っていた。また次に公園へ来る日が楽しみだ。

【ネタバレ】
私は、50代半ばの女性である。
この女性に子どもはいない。
誰も乗っていないベビーカーを押している。
不審者とはこの女性のことであり、彼女は深夜に現れては公園内に設置されている”母と娘像”に話しかけていたのである。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?