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#逆噴射プラクティス

没噴射小説詰め合わせセット v2024

没噴射小説詰め合わせセット v2024

こちらは逆噴射小説大賞の没作品群となります。
お手すきの方はぜひ。

亡国の星条旗 燃え立ったキノコ雲を中心に広がる爆風が、万物を薙ぎ払った。
 サウスダコタ州ラシュモア山。五人の大統領の巨像が、眼前に連なるキノコ雲の群れを見下ろしている。
 その頭上に、巨鳥の如き翼を広げた巨人──白堊館󠄁が降り立とうとしていた。

「クソ!」
 白堊館󠄁の執務室に座すエデンは悪態を吐いた。そして滑る操縦桿を

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(没)激・突!

(没)激・突!

 檮杌はヒッチハイカーである。
 いつも、車に乗せてくれる親切な運転手を殺すことを生きがいとしている、快楽殺人鬼でもある。
 今回の獲物はスバル・インプレッサに乗ったイカした男である。バックパックに差した果物ナイフをその頭蓋に叩き込む快感を想像した彼は、体を震わせた。
「自分、檮杌って言います!よろしくっす!!」
 彼の前に爆音で車を停めた運転手の招きに応じて、意気揚々と車に乗り込んだ。

 窮奇

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(没)恩返しの鶴

(没)恩返しの鶴

「この前助けてもらった鶴です。恩返しに来ました!」
 あ、それ言っちゃうんだ。
 自宅の安アパート。ぼくは開けた玄関のドアノブを掴んだまま静止した。
 呼び鈴の音に誘われてドアを開けたらそこには絶世の美女が着物姿で立っていて、その侘しげな瞳が射抜いてきた。
 男なら誰もが夢見る風景だ。ある日とんでもない美人とうっかり関係を結ぶという超展開。
 だが問題が一つ。
「あの…多分人違いじゃないかな」
 

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(没)BURN IT DOWN

(没)BURN IT DOWN

『我が子威吹よ、汝を指したる凡ての預言に循ひて、我この命令を汝に委ぬ。これ汝がその預言により、信仰と善き良心とを保ちて、善き戰鬪を戰はん爲なり』
 そう水瀧楓は紅威吹の耳殻に呪いを吹きかけた。
「ほらはやく」
 楓は傍らに立つ威吹の手首を掴み、その指先をビルの一つに合わせる。
 閃光がはためく。毒々しい赤紫色の花を開く大火球が眼窠の中で燃えた。生きとし生けるものを焼き払う劫火の嵐。眼前の超高層ビル

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(没)蒼天雲来

(没)蒼天雲来

 龍とは宇宙の道理と変化の具現である。
 時には大に、時には小に。大なるは霧を吐き、雲をおこし、江を翻し、海を捲く。また小なれば頭を埋め、爪をひそめ、深淵にさざ波さえ立てぬ。その昇るや大宇宙を飛揚し、その潜むや百年淵の底にいる。
 ありとすればあり、なしとすればなし。古来、龍の話は無数に聞くが、未だこれが真の龍だという実物は片鱗も見えぬ。
 が、性の本来は陽物ゆえ、いずれこの地上、風雲に会って大い

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(没)恋愛戦闘小説

(没)恋愛戦闘小説

「玄くんが、好きです」

 ──放課後、屋上。
 その言葉を耳にした黑部玄は唖然と立ち尽くした。
 時限終わりに話があるからと隣席の山田小春に呼び出され、なんの話だろうかと心待ちにしていた矢先、屋上の塔屋を出るなり告白された。
 玄にとって、隣席の山田は神に等しい存在だった。優しく、美しく、そして超然としている。なんとなく妄りに近づき難いものを感じさせるのだ。清浄な砂が敷き詰められた床に足跡をつけ

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(没)DArkSide

(没)DArkSide

 パンドラによって遍く厄災が解き放たれた匣には、希望だけが遺った。
 では拭えぬ闇に囚われたこの世界に遺ったものとは。

 無明の闇に閉ざされ翳や陰が跳梁する末法の世にあって光を放つものに近づいてはならぬ。逢魔はそう教えられてきた。
 それは人魂を薪に焚べた輝きであり、捕まれば最後、虚にされた肉体に闇を吹き込まれた幽鬼となって人を狩る末路を辿るからだ。
 だが眼前のこれは違った。
 何ともつかぬ奇

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(没)食卓事変

(没)食卓事変

『引きこもりの男が両親を殺害した容疑で逮捕されました。警察によりますと……』

この瞬間、朝の食卓に緊張が走る!

 ぼくはTVニュースが聞こえないふりをしつつポケットの中の凶器に触れ、両親がぼくに対してバカなことをしてきたら刺してやろうと刮目していた。母は台所で固まり、白く浮き上がった腱が遠目でもわかるほど強く包丁を握りしめている。父はぼくの向かいで顔の前に新聞を広げ一見平然としていたが、早業で

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(没)至天

(没)至天

 銀河の全てが刻まれた「覺典」の記述を引くに、それは九九九周期──〈神咒無限帝国〉建国記念式典の事である。

 回顧するに──人類が起源の星、地球を脱して幾星霜。臣民は天帝の詔を患い、多銀河にその版図を拡大した。それは他起源との角逐を意味する。蒼海(近銀河圏)の戦役は連戦連勝の勢に乗じて帝国不滅を告げ、忠勇義烈なる将士は凱歌を奏し、臣民の歓喜は数多の星を震わした。
 かような国家の祭とあればその様

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(没)廃業探偵の愁い

(没)廃業探偵の愁い

「探偵に最も必要な素質とは何だと思いますか?」

 学生時代のことである。卒業記念にと単身乗り込んだシベリア鉄道の車輌内で、私は“探偵”と出会った。
 自分の部屋で暇を持て余していた私は、ハバロフスクで乗り込んできた同じ日本出身の男と親交を深めることになった。
 ややオーバーなデニムのボトムス、ゆるりとした白いシャツの上にスエードのベストを羽織り、中折れ帽をかぶっている。黒縁伊達眼鏡の向こうで狂気

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サボる話

サボる話

 最後の大会をサボった。理由は特にない。
 二歳の時から人型機動骨格競技「RBT」を始めてはや十六年。中学二年生の時に全国大会の頂に登り詰め、次は世界大会制覇だと意気込んでみたは良いものの、古来から上には上がいると言われるように、世界の壁を目の当たりにして人生初の挫折を味わって帰国した頃には受験期に差し掛かっていた。足掛け二年のブランクを経て、高校をスポーツ推薦で入学し、再び再起を図ったところで人

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