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【魂とは】 劇団イキウメ 「人魂を届けに」

そういう人に、私はなりたい

「魂」という言葉は、ほぼ無思考なまま、様々な表現で使われる。

例えば、「魂を売り渡す」

この場合、この人は自分の魂を、いくらで売ったのだろうか。部分売りもありうる。

例えば、あまり乗り気でない仕事を、半日幾ら、というギャラに釣られて売り買いをしたように。

ある拘置所で、死刑執行された受刑者から「魂」が飛び出した。それを森の奥深くに住んでいる「母さん」のところに、執行に立ち会った刑務官が届けに行く。

身体が死にかけているか、心が死にかけているか

今は、どちらかに該当しない人の方が少ないのではなかろうか。みんな、何がしかカタワになって生きている。その痛みを感じないように様々な工夫もする。薄ら笑いを浮かべて、お酒に走ったりして。

死刑制度、宗教、こころ、現代社会での生きづらさ。理由がないものに対する体制側の恐怖。テロと政治。

散りばめられたエピソードは具体的なのだけれど、全体像を語ろうとすると、途端に思考がホワホワしてくる。この2時間をどう総括すれば良いのか、迷子になってしまう。

何かを感じたことは間違い無いのに、まるで樹海に踏み込んだみたいに、方位磁石が効かなくなってしまう。

生きづらさを抱えている人の「キャッチャー」になる、とは「お芝居」そのものにも当てはまる。

芝居を見て、もう少し頑張ろう、もう少し生きようと思ったことは、1度や2度ではない。それはきっと、芝居小屋で、作り手さんから魂の一部を頂いて帰っているようなものなのだ。

寒いよ、寂しいよ、お母さん

弱い人は、生きてはいけないのか。
間違えたら、人間失格なのか。
罪人には、価値がないのか。

罪ってそもそも何なのか。

「Sea of Trees」という映画も思い出した。 樹海とは、森なのに、海だ。そして、この国では森を抜けると、両側は海。どこにも逃げ場がないのだ。

一晩経ってもなお、噛み締めている。あと1回見る機会がある。その時には、きっとまた印象が違って見えるだろう。楽しみだ。

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明日も良い日に。



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