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非英語圏なのにバイリンガルが多く生まれる国で行われている英語教育とは

「いよいよ英語やらないとやばい」
「子どもの英語って、早いうちにやればやるほどいいのかな」

と、最近よく思います。

人口が減り続けることが必至な日本。海外に出て出稼ぎが当たり前になっていくことはもちろんですが、海外からもたくさん移民が増える中で、多様性がある社会を作るためにも大事なツールだなと思っています。

ということで、日本と同じく非英語圏なのに、バイリンガルが多く育つ国の英語教育方法を学ぶイベント『世界のスゴ教室ー英語教育編』に行ってきたので、備忘録兼ねた日記をば。

今回のイベントで取り上げられたのはフィンランド・インド・アブダビの3カ国。個人的には北欧で教育大国と呼ばれるフィンランドの取り組みがすごく興味深かったので今回はこちらをメインでメモ。

◆9割以上がフィンランド語を母語とするバイリンガル大国

北欧のフィンランドは、実は日本の隣の隣の国だそう。間にあるのはロシア。でかすぎるので実感ゼロ…。


面積は日本から九州を引いたくらいの大きさでそこまで日本と変わりません。しかし人口は約550万人と、だいたい北海道と同じくらいしかいません。人間は暖かい南部集中しているそうです。

使用されている公用語はフィンランド語とスウェーデン語で、9割以上がフィンランド語を母語として日常生活を送っています。

一方、国別英語能力ランキングは、2018年版を見ると88の国と地域の中で8位(日本は49位)で「非常に高い」に分類されています。アジアだとシンガポールが3位、フィリピン14位、香港30位とかだから、街中でもかなり英語が伝わりそうなイメージです。

でも、こうしたバイリンガルが多い国の話を聞いてよく思うのが「英語と似ていて言葉も関東と関西の違いくらいなんじゃないの?」ということ。

まぁ今回も例に漏れずそう思っていたのですが、大間違いらしく、フィンランド語は実はウラル・アルタイ語族と呼ばれるものに分類され、英語とは全く違う言語体系だそう。一説には日本語がアルタイ語族に入るとか。

実際どんなものか見てみると、

こんにちは Hyvää päivää

わかりません En ymmärrä

。。。

たしかに英語とは違ってそうです。

◆非英語圏でバイリンガルはどう育つ?

ということで、今回の本題のそんな国でどうやってバイリンガルが育つのか?ということを以下、研究者の梅田 眞司さん(Shinji Steve Umeda)に教えていただきました。

①授業時間が「少ない」

まず大きな前提として、フィンランドでは英語は「必修」ではないということ。日本だと英語のみが必修化しますが、フィンランドでは公用語であるフィンランド語とスウェーデン語以外の「外国語」として自由に言語を選択します。

つまり、英語は「あまたある外国語の中のひとつ」。ただ実際には99%が英語を選ぶそうです。(残りの1%は何選ぶのか気になった。中国語増えてそう)。

次に授業時間ですが、意外にもフィンランドでは日本より少ないんだそう。フィンランドでは小学校〜高校まで合わせて授業時間が684時間なのに対して、日本では928時間とのことで、1.3倍の開きがあります。特に高校の場合、授業時間が2倍以上違っていたのには驚きました。

先生も午後3時になるとサーッと帰るらしいのでまぁ納得。今回のテーマとはそれますが教師の働き方も学べるところありそうです。

②教員によるオリジナル授業
日本では教科書は市教委などの地方自治体の教育委員会の権限で教科書を毎年選んでいますが、フィンランドには日本のように教科書検定制度が存在しないとのこと。

なので、教科書の出版会社の編集者と教員が自由にデザインできるそう。

代わりに重視しているのが「ワークブック」。フィンランドは修士や博士課程を出た人材が教員になるケースが多いとのことです。それぞれの先生が自分のオリジナルな方法で授業を作るとのことでした。

とはいえ現実問題、日本の先生たちにこれ以上の負担がかかるのは過労死を生み出すことになると思うので、仮にこうした手法を取り入れるのであればまず今ある働き方の改革が必要かなと思います。

③語彙のシャワーを浴びまくる
授業時間は少ないそうですが、一方で耳にする語彙の量がめちゃめちゃ多い。小学校〜中学校で使う語彙は日本は1485語に対しフィンランドが1万1758語と、なんと10倍の開き。教科書とワークショップを合わせると日本の中学生の5倍以上の英文を学習するそうです。

とはいえ、「数を覚えること=暗記」を目的にしているわけではなく、あくまで「浴びる」量だそうです。高校時代、必死で単語帳開いてabcから始まる単語をかたっぱしから暗記していくという苦行をしていた記憶がありますが、きっと彼らはやらないのでしょう…(遠い目

④学び方の選択肢がたくさんある
第一外国語や第二外国語としての英語教育のほかに、CLIL(Content and Language Integrated Learning:クリル)と呼ばれる、理科・社会と英語を一緒に学ぶ方法や選抜英語クラスなど自分にフィットしたやり方を選べるそうです。

⑤早いうちに文法を覚える
個人的にはこのメソッドが一番面白かったです。

小学校など、英語を楽しい!と思ううちに文法を覚えてしまうそうです。そこから内容に入っていくという形式→内容重視の方法。

たしかに大過去やら仮定法やらと文法を覚えるのは苦痛極まりなく、英語嫌いになる時の最初のつまづきが文法っていう人すごい多い気がするので好きなうちにやっちゃうみたいな発想はある意味理にかなっているのかなと。

とはいえガッツリやるのは小5など母語がしっかりできてからだそう。

どちらもネイティブになりきれないダブルリミテッドの防止なのかなと思います。

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