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なんとなくWOW WAR TONIGHT

 カラオケで満たされたい。二十代半ばぐらいまでは楽しかった。が、年を食ったせいか今はあまり楽しみ切れない。マンネリ化している気もする。何が正解か分からず、H Jungle with Tでお茶を濁す。結果、松っちゃんの「BUSAIKU HAMADA」パートで照れ笑いをし、今夜もニヤニヤ立ち尽くすのだ。

 まずもって喉が続かない。二、三時間飲んだ後に歌うと、数曲で荒れてしまう。「オレの十八番って何なんだ?」と自問自答を繰り返すも思い浮かばず、その場しのぎのアジカンやポルノグラフィティで終了。『サウダージ』の歌詞に、自分の喉ちんこを思い馳せる。その後、油分を取れば復活すると言う雑な知識から、藁をも掴む思いでフライドポテトをむさぼる。が、蘇生ならず。指先の油のせいで、藁はするりと抜ける。私は生きたわ、喉ちんこと。

 行き着く先が、リズムさえ取れれば成立するラップだ。ただ、これが今ひとつ盛り上がらない。元々、自分が好きなジャンルだと友人に知れてる分、マスを掻いてるような空気が漂う。オレのグレートフルデイズも今日まで。ちくしょう。『楽園ベイベー』も鎮魂歌に聴こえる。こっちだって、本当は歌いたい曲がある。でも、高い声が出ねえんだ。シティーポップは歌えない。『ブギーポップは笑わない』みたいに言うなよ。

 それなら酒を飲まなければいい。そんなことは百も承知だ。でも、考えてみてほしい。三十路過ぎのおじさんが素面で歌うなんて、本来は異常だ。変態過ぎる。アーティストのような天賦の才にしか許されていない。愚行。色々言っているが、要は恥ずかしいのだ。一次会で「次はカラオケにする?」的な話題が出た途端、アルコールのペースが早まる。おそらく、ジャッキーも素面でカンフーするのが照れ臭かったんだろう。

 そしてまた、なんとなく入れたH Jungle with Tでお茶を濁すのだ。いや、時には起こせよムーブメント。

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