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耳鳴り潰し55

 土曜参観日。娘は休ませようかと思ったが「行く」とのこと。

 娘と議論した結果、私には頭頂部は存在しない、という結論にたどり着く。
 何を言ってるか分からない方のために一応説明しておこう。
 娘が私の頭頂部の髪が薄くなっていることを指摘してきた。これまで何度もしたように私は「幽霊やUFOはこの目で見たことがないから信じていない。頭頂部も自分の目では確認できない。であるから、頭頂部の髪が薄くなっているということは信じられない」という持論を展開した。しかし娘は頑なに私の頭頂部が薄くなっているのは事実であると言い張るのだ。そして結果的に「私には頭頂部という部位そのものが存在しない」と私は押し通すことに決めたのだ。であるから、私の脳髄は直接外気にさらされている可能性がある。

 私の持論をChatGPTに相談したところ、「自分の目で見えないから信じないという論理は、他人の証言や証拠を無視することにつながり、正確な事実を認識するためには適切ではありません」と怒られた。

 参観は二時間あり、最初は私が息子の、妻が娘の、次の時間は交代で観ることにする。
 カナちゃんの弟君に会う。「久しぶり」と声をかけると「誰この人」という顔をされた。

 息子はまだ少し咳が出ているのでマスクをしているのだが、もっと激しい咳をしているのにマスクをつけていない子も目についてしまった。こうしたイベントが体調不良を増やす原因にしか思えない。

 一年生の国語の授業であるから、しりとりを完成させていく、といった内容。最後は四人ずつの班で合計21単語を埋めていく競争になった。息子は作業速度がおっとり型であるから、急かされてパニックになっているようにも見えた。文字の向きを反対に書いてしまったところを修正する時に、何故か利き手でない左手で書いていた。

 勝負事でヒートアップした教室内は喧噪に包まれる。私の耳にビリビリと響く。右耳より左耳の方が弱いのか、同じ音量を浴びているのに、右耳にはビリビリ感があまりなかった。それとも逆に、右耳の感覚が鈍くなりすぎているのだろうか。

 次の時間は娘の支援学級での作文指導を見学。いつもは4~5名なのだが、この日は二人だけ。他の生徒は通常学級への参加を希望したのだとか。娘は家と変わらずマイペースだったが、もう一人の男の子はお父さんの見ている前でがちがちに緊張していた。こちらの参観では椅子に座れたので助かった。元々二時間の立ちっぱなしは難しそうだと、半分諦めていたのだ。

 娘の作文の中に突然「パン粉」という言葉が登場し、先生に質問されていた。娘は時々私のことを「パンコ」と呼ぶのだが、その由来は「パパがどこに行ったか分からない時、紛失状態となる意味で「パン粉」と呼ぶようになったのだという。漢字が違う。

 参観終了後は緊急時の引き渡し訓練。生徒たちが運動場に集まる際に、一年生は二人一組で手を繋いで歩いていた。息子とカナちゃんが手を繋いでいるのが遠目に見えた! 楽しそうに話してる! 尊い! とキャッキャ叫びそうになる。

 昼食はピザを頼まれたので昨日と同じスーパーへ。途中100均に寄ってピザカッターを探したが、おそらくそこにピザカッターがあったであろう空間が空になっていた。どこの家庭も似たようなことを考えるらしい。

 息子とお風呂に入った際に参観のことを訊ねる。カナちゃんと手を繋いでいたのは、背の順で並んでいたからとのこと。カナちゃんの弟君は最初寝ていてすごく可愛かった、他にもとても可愛い赤ちゃんがいた、の流れで「弟か妹欲しいな」と言われる。パパは今年で44歳、6つ年上のママはもう50歳になっているんだよ。ちょっと厳しいな、とは言わず、息子が赤ちゃんだった頃の寝かしつけが大変だったエピソードでお茶を濁す。

 夕方突然力尽きて一時間半ほど横になる。

 次に読む本を決めないまま一日が終わった。


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