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読書の方法30選

 本を読む方法は自由である。
 代表的な30通りの読書法を紹介していく。


・筋トレ読書

 書見台を利用し、両手を空ける。座りながらならダンベルトレーニング、立ってスクワットなど。大長編を読み終える頃にはムキムキになっている読書法。文学好きのひ弱なイメージを払拭出来る。


・演奏読書

 筋トレの代わりに楽器を持つ。ギターやベースもいいがお勧めはドラムスティックを持ち、太ももを叩く練習法。座布団などを用いて痛くないように工夫を凝らしてみよう。基本的なビートを刻むもよし。曲を流しながら合わせて叩くもよし。バンド小説を読みながらその気になってみるのもよし。筋トレと違い、あまり演奏技術は上達しないので注意。
 

・歌う読書

 演奏読書の歌版。歌いながらだと歌詞と文章がぶつかるから集中出来ないのじゃないかという心配は、今読んでいる文章を歌うことで解決。読書スピードは遅くなるし頭にも入ってこないし、家族には迷惑をかける。お勧めしない。


・トランポリン読書

 家庭用トランポリンを購入し、跳びながら本を読む。文庫本がお勧め。私もしばらくやっていた。今はトランポリン自体なかなか出番がない。油断して跳びすぎると太ももがパンパンになる。読みやすくはない。


・食事中読書

 これは電子書籍のタブレット読みが最適。長めのタッチペンが便利なので、100均のお気に入りのタッチペンを二本買って繋げて使っている。略して食中読。


・読み聞かせ読書

 子供に絵本を読み聞かせる場合、お気に入りの絵本の場合はいいが、そうでもない場合、文章量が多くて子供が乗ってこない場合、読み飽きている本の場合に、勝手に脚色してオリジナル絵本に仕立て上げる。その際に、自分の読みたい話を創作する。遊びつつも、自分も楽しむスタンス。大抵途中で子供は別の遊びを求める。


・風呂読書

 これは実家に住んでいた頃やっていた。換気扇を回していれば、紙が湿気ることもなかった。長過ぎると母親が様子を見に来た。換気扇を消されて揉めた。


・夢の中読書

 眠っている間も本を求めてさまようことがよくある。実在しない街の、どこかで見かけたことのある古本屋に入り、長い間探し続けてきた本に出会う。開くと中身は白紙であり、本棚自体も崩れ落ちる。よく見る夢の典型。


・トイレ読書

 端末や図書館の本を持って入るわけにはいかないので、昔読んで好きだった本の読み直しにあてている。


・授業中読書

 授業を聴く振りをしつつ、教科書に本を挟んで読む。実際に学生の時は、「人に読書家と思われるのが恥ずかしい」という無駄な羞恥心があったので、一度しか試していない。今思えばもったいなかった。全ての授業時間を読書にあてていればよかった。


・歩き読書

 今でいう歩きスマホ。人通りの少ない、道幅も狭くないところ限定。でも周りがやっぱり気になるので、あまり本に集中出来なかった思い出。


・スポーツ観戦読書

 プロ野球・大相撲中継限定。野球なら球を投げる瞬間、相撲なら立ち会いの瞬間にだけテレビに目を移し、その他大半は本を読む。小説には向かないので、新書系を読んでいた。


・家事中読書

 洗い物の最中にタブレットで→濡れた指をいちいち拭くのが面倒。洗い物に時間もかかる。
 お風呂上がりの子どもの髪の毛をドライヤーで乾かしながら、タブレットで。


・職場読書

 かつての職場で、本社から「この本を読んで感想を書け」というタスクが送られてきたことがあった。帰り際にタイムカードを一応押してから20分程度で読み終えて感想を書いて提出した。真面目にやったのは数人だけだった。
 


ここから未体験ゾーン。


・聴く読書

 読み上げ機能や、リーディングサービスを使用して本を耳で聴く。ハンズフリーになるばかりか、移動も運動も自由自在。何なら耳で聴きつつ、目では他の本を読むという荒業も可能となる。


・自転車読書

 スマホホルダーを付けて電子書籍を。危ないからやりません。


・面接中読書

 趣味の欄に書いた「読書」を実践。読みながら質問に答えていく。決して相手の目を見てはいけない。読書の妨げになることをしてはいけない。面接の結果など問題にしてはいけない。自分を前面に押し出していけ。


・しゃぶしゃぶ中読書

 食中読の亜種。鍋物の際は食中読は控えるのがセオリーだが、ここはあえて破ってみる。略してしゃぶ中。


・聖地巡り読書

 小説の舞台となった場所に出向いて、現場で読む方法。時代が変わり、地名は残っていても当時とは全然風景が違っていたりもする。外国や宇宙が舞台だと難易度が高いが可能性はある。ファンタジー世界が舞台の場合、一から自分で作り出さなければいけないので、莫大な費用が必要となる。さらに続編では、その世界は更に大きな世界の一部だということが判明したりする。


・内容追い読書

 読んでいる本の通りの行動をしていく読書法。犯罪小説の場合、捕まる覚悟が必要。最終的に主人公が死ぬ小説は避けた方が無難。これから読む本の内容をあらかじめ知っておいた方がいい、という、リスキーな上に読書の楽しみも奪われる踏んだり蹴ったりの読書法。恋愛小説の場合、思い通りにならない可能性があるので注意。


・演劇読書

 登場人物の数だけ人を集め、本の内容を演劇で表現する読書法。地の文は自分で読む。全員分の本、出演ギャラ、スタジオレンタル代など、結構な金が必要。全員が同時に読むわけで、内容を深く読み込むには向いている。どれだけの協力者を集められるか。一番大事なのは、人望。


・人を読む

 岸辺露伴限定読書法。人を本にして読む。あまり身近な人を読むと、知りたくもないことを知ってしまう可能性があるので注意。


・執筆中覗き込み読書

 作家が書いている最中の原稿を覗き込みながら読む読書法。初稿から変わっていく原稿の姿や、書けなくて悩む作家の姿を眺めながら楽しめる。作家に頼み込む、編集者となって、締切ギリギリの状態の作家を追い詰める、幽霊になって作家の背後に立つ、などの方法で可能となる。時には暴力沙汰になりかねないので注意が必要。


・速読

 あまり試したことはないが、すごく速く読む読書。数秒で一冊を読み終える達人もいる。さらにその上には、本に触れない、ページを開かない、目も開けないで本を読み切る化け物もいる。神と呼ばれる最上位速読者は、この世に生まれた瞬間に全ての書物を読み終えていると言われる。


・遅読

 速読の逆パターン。数時間で読み終える内容の本を、何年もかけて読む。途中まで読んだものを最初から読み直す。疑問に思ったことは全て調べる。現物にあたる。言葉の語源を全て学ぶ。本とは、創作とは、言葉とは、文字とは、世界とは、生命とは、といったところまで追求して読むから遅くなる。一冊の本を読み終えただけで偉大なる哲人として仕上がっている。


・遅効性の毒

 遅れて効く毒。


・無人島読書

「無人島に持っていくならどの本を選びますか」といった問いに真摯に答えた結果、本当にその本を持って無人島に流される。誰も助けにはこない。本以外持ち物もない。こういう事態を常に想定して、サバイバル関連の書物を選んでおくべきである。


・単読飛行

 鳥人間になって太平洋を単独で横断する際に行う読書法。もはや何を書いているか分からない。


・初心に帰って読む

 読書の楽しさ、恐ろしさ、広大さ、それらを何も知らなかった幼い頃の自分に戻って、書物に初めて触れる時のドキドキ感を味わう読書法。毎回記憶を消去しなければいけないが、何度でも初めての幸福感を楽しめる。

 
・読まない

 史上初、本を読まない読書法。もちろん聴くとかネタバレだけ読むとかでもない。読むに類する行為を全て放棄する。何かを知るための行為も。うっかり読書してしまわぬように、最終的には生命活動も停止させる。ただし寿命が尽きる時にのみ行うこと。


 以上、様々な読書法を紹介してみました。
 いくつか試すのが難しいものも混ざっていますので、実践して大惨事になってしまった場合などには、この記事を読んだから、などとは口外しないようお願い致します。


※最近頭痛がするので「読書ペース上げすぎたかな。ちょっと休憩するか」と思って読書を休んでいる間に思いついた記事。

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