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一瞬の瞬き

私は最近、写真を撮るのが好きになりました。
もともとは、撮るのも撮られるのも、そんなに好きではなかったのですが、ある本を読んだことと、娘とのやりとりがきっかけで、写真を撮ってみようと思い始めたのです。

そして、写真を撮るようになって気がついたことがあります。それは自分で思っていたよりも、私は人の目を気にしているということです。

妻や、娘、友人などと一緒にいる時はあまり気にならないのですが、一人になるとどうも人目を気にしてしまう傾向があるようです。

仕事場に向かう途中などでも、キレイだなと思ったり、面白い光景だなと思ったりすると、写真に収めたくなる時があります。ですが、周りを見回してみて人が居ると、「やっぱりいいや、今度にしよう」となってしまうのです。

なぜそうなってしまうのかと、自分なりに考えてみたところ、どうやら二つの原因があることに気が付きました。

まず第一の原因は、自分の撮る写真に自信がないということです。

始めたばかりなので当たり前なのですが、私は写真をうまく撮ることができません。
もし仮に、誰もが素敵だと思えるような写真を撮ることができたら、堂々と胸を張って、いつでもどこでもカメラ(スマホです)を構えることができます。ですが、私はどうも上手に撮れる自信がないので、人前でカメラを構えるのが恥ずかしくなってしまうのです。

自分ではあまり自覚はなかったのですが、おそらく私は自意識過剰なのでしょう。

もう一つの原因は、どうも風変わりな物に魅力を感じてしまう傾向があるということです。

例えば虹が出ていたりとか、芸能人がいたりとか、多くの人が写真を撮りたくなるような場面に出くわせば、私も迷うことなく、カメラを手に取ることができます。ですが、どうも私が撮りたいという欲をそそられるのは、少し風変わりな、よく言えばニッチなものが多いのです。

例えば、葉っぱを全部食べられてしまったバジルの苗などです。

ですので、「あの人はどうして、あんなものにカメラを向けているのだろう」なんて思われてしまいそうで、尻込みしてしまうのです。



先日こんなことがありました。

職場に向かう途中、ある花壇の中に咲いていた赤くて小さい花が、とてもキレイに見えました。そこで写真を撮ってみようと思ったのですが、周りを見回すと、すぐ後ろに人が何人かいたので、「毎日通る道だし、明日でよいか」となってしまいました。
そして次の日に、今日こそはと、カメラを片手に花壇に向かって歩いて行きました。するとラッキーなことに、その日は周りに人影はありませんでした。

「よし撮るぞ」と思ってカメラを覗き込んだのですが、昨日はあんなにキレイに見えたはずの花なのに、その日はあまりキレイには見えなかったのです。

その時私は学びました。「キレイだな」と思ったり、「素敵だな」と思ったりするのは、ほんの一瞬の出来事なんだと。

その日の天気や、時間や光の加減、さらには自分の体調や感情など、全ての要素がリンクした時にのみ起こりうる、特別な瞬間なのです。

その瞬間を、見逃してしまうのは非常にもったいないことで、一度逃してしまったその瞬間というのは、次いつ訪れるかわかりません。

だから、「一瞬一瞬を見逃さないように、しっかりと捉える意識」を持つことが大切なのです。

写真はそれを、私に教えてくれました。

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