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成長に栄養を、静養に制裁を

今日は休日だったのですが、私は朝から体がとても重く感じていました。

というのも、少し前からお酒を飲むのは休日だけと決めていたのですが、昨日の晩、1日フライングした挙げ句に飲みすぎてしまったのです。

午前中、娘が幼稚園に行っている間、私はぐったりしていました。
娘が「フワフワ」と呼んでいる薄い毛布を勝手に借りて、子供部屋の床に寝っ転がりながらそのフワフワにくるまって横になっていました。

「パパが使うと臭くなるから絶対に触らないで」、といつも言っている娘がこの光景を見たらきっと怒るんだろうなと思いながらも、フワフワに包まれているとなんだか心が落ち着くような気がして、なかなか止められないでいるのでした。

そうこうしているうちに、幼稚園に娘を迎えにいく時間になりました。
しかし私の体はまだ重いままだったので、家から出るのが非常にしんどく思えて仕方ありませんでした。

しかし妻は家で仕事の準備をしているし、私がお迎えにいくという約束をしていたので、なんとか重い体を持ち上げて、億劫な気持ちを引きずったまま幼稚園に向かうことにしました。

娘は幼稚園がとても楽しかったようで、帰り道、手を繋ぎながらずっと幼稚園での出来事を興奮した様子で話してくれました。

私は体が重いだけでなく、脳みその働きまで鈍ってきていたようで、娘の話が全然頭に入ってこずに「へえー」とか「そうなんだぁ」とかいった気の抜けたような生返事しかしてあげることができませんでした。

家に戻り、家族3人でお昼ご飯を食べてしまうと、「今日は公文(くもん)の日だから遅刻しないように行ってね」と言い残して妻は仕事に出かけていきました。

私は洗い物をしながら幼稚園の帰り道のことを思い出し、娘の話をもうちょっとちゃんと聞いてあげれば良かったなと後悔の念に駆られていました。

その後しばらくして、公文に行く時間になったので娘を送っていきました。
私は娘が勉強している間にいったん家に戻り、30分だけ仮眠をとることにしました。
幼稚園で一生懸命に遊び、公文で真面目に勉強をして成長を続ける娘に対し、二日酔いで30分の仮眠をとり静養する38歳の私。
なんとも情けない話ですが、この仮眠のおかげで少し元気を取り戻すことができました。

お迎えの時間になったので公文教室に迎えに行くと、娘は扉を開けたところにある丸いパイプ椅子に一人でポツンと座っていました。
その佇まいがなんだかとても不安そうに見えて、私は申し訳ないような気持ちになってしまいました。

いつもであれば私が待たされる側なのですが、その日はたまたま問題が簡単だったらしく、いつもよりも早く終わったようでした。

私が「ごめんね、結構待った」と聞くと、娘は「結構待った」と返してきたので、「何分くらい待ったの」と聞くと、娘は「3分くらい」と答えました。

私は「なんだ、たったの3分じゃないか」とも思ったのですが、娘にとってはとても長くて不安な3分だったのかなと思うと、やはり申し訳ないような気持ちになりました。

公文からの帰り道、夕飯で使うブロッコリーを買うために八百屋さんに寄りました。
入り口のすぐ近くにあるブロッコリーの山の中から、娘が一つを選び取り、そのままレジまで持っていってくれました。
私がお会計をしていると、娘は「初めてブロッコリー触った」と言いながら、ブロッコリーのフサフサがいっぱいついた手のひらを無邪気に見せてきました。
その無邪気な表情がなんとも子供らしくて、私は急に、娘がとても愛おしく思えてきました。

最近はすっかり小生意気になり、ませた口を聞くようになってきていたのですが、その時見せた無邪気な表情はまだまだ子供の表情そのものだったからです。

私は八百屋さんからの帰り道、頭の中で、
「娘よ、ブロッコリーにはビタミンやカリウムやタンパク質など、これから君が成長していくのに必要な栄養素がたくさん詰まっているんだよ。
だから野菜嫌いの君でも美味しく食べれるような、とっておきのブロッコリー料理を今度作ってあげるからね」
なんてことを考えながら歩いていると、娘が私を呼ぶ声が聞こえてきました。

「ねえパパ聞いてんの!」

私はどうやら、またしても娘の話を聞き流してしまっていたようです。

「今日も寝る前に絶対、お宝冒険すごろくやるからね!」

私はこの一言によって一瞬で現実に引き戻されました。

というのもこのお宝冒険すごろくは、全国の民芸品や、ご当地グルメなどのお宝をゲットしながら日本を一周するというもので、かなりの時間を要するなかなかヘビーなすごろくなのです。
さらに、2年前にこのすごろくが我が家にやってきて以来、娘は飽きもせずにずっとやり続けています。
それに付き合っている私と妻はもう飽き飽きしていて、本音を言えばもうやりたくないのです。

しかし今日の私は娘の話を上の空で聞いてしまったり、公文で不安な3分間を過ごさせてしまったりしたので、その制裁として、素直にこのすごろくの刑を受けることにしました。

そして今日もやはり、四国ぐるぐるゾーンからなかなか脱出することができずに、一向にゴールに進むことができない私は眠気に襲われてもがき苦しむのでした。

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