只鳴どれみ

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Quest

 Quest  1st time  パトロールカーを細く切ってらーめんにして湯船にためるんだ、明日カーテンの藻屑が透きとおり堕落に丁寧な折り目を持つからな、そしたら救急車のクリーム味だから唐揚げがメリーゴーランドに乗る月夜に見知ったA4の絵画だし食える   (解析、どうだ) (駄目ですね。どんどん行きましょう)      2nd time  古めの朝だから横隔膜、雨宿りの光に炒めたりね、ねじれるジャムの器に浮き沈みする幼体の上昇と共にあり、水溜まりを覗くからメリーゴーラ

    • 「カレーVSラーメン」

      Kaguya Planet × SFG、マイクロノベルバトル「カレーVSラーメン」応募作品 カレーSF ラーメンSF

      • ショートショート『記憶にございません』

        • 森の女

          森の女  これは、ある夕暮れ迫るいつかの物語   「あ、あなたは……?」 「あたし?」 「は、はい」 「あたし森の女」 「森の……」 「女」 「女……」 「そうよ、森の、女よ」 「森の、女」 「茂っているの」 「え……しげ……」 「あら、おかしい?」 「い、いや……!」 「女だって茂るのよ、茂ったっていいじゃない、なによ、茂るだけ茂らせてもらうわよ、茂らせて茂らせて、これでもかってくらいに。女だってね、こんなに茂らせられるんだ! ってところ、見せてやるんだから」 「や、え…

          兄さんの訓え

          兄さんの訓え  土曜日は一週間の内でも最高級の曜日に類される。誰もを安心へ導ける部類の曜日に所属していると言える。そう自負している。という考えを他曜日たちを前にして力説しているのは、そう、他でもない土曜日その本人だ。 「月曜日はまず糞だろ。  火曜日なんてずっと燃えてろよ。そうやってずっとちろちろと燃えてろよ半端野郎が。  水曜日は幼少期に好きなアニメがやる日だったから少し贔屓目に見てしまうところもあるが、週の真ん中だなんてことを考えると溺れるように息ができねぇ。殺す気か。

          兄さんの訓え

          密日

          密日 「曜日って何で七日なの?」  十二月も数日を過ぎた、とある日曜日。北からの風がビル群の隙間を抜けてゆく。そんな師走の空の下、待ち合わせ場所に二分遅れてやってくるなりマチコがマツコに聞いた。 「え、ちょっと待っててね。調べてみましょ。てかおはよ」  都会のビル群に囲まれた駅前で、端末を駆使して検索するマツコの姿はこれぞ『小慣れ感』というやつだった。かなり小慣れている。その感が凄かった。 ——しかしマツコはすぐ調べてくれるな。いつも私の隣で、私の世界の彩りを増やしてくれる

          愉快な靄の街

          愉快な靄の街  気がつくと私はその街に立っていた。  随分と靄がかかって見えるその景色が自分の頭のせいなのか、実際にこの街全体が靄に包まれているのか、どういうことかうまく判別できなかった。  どこからか音楽が聞こえる。陽気な、南国調の曲が流れている。すぐ後ろから聞こえている気もするし、随分と遠くから聞こえてくる気もする。何故か全く距離感が掴めず、それは私の中にまた新たな靄を生じさせる。  街からはその音楽の他に、行き交う人々の声が聞こえた。しかし、そこには、私の視界の先には

          愉快な靄の街

          つぼみのおもうところ

          つぼみのおもうところ 「ひょっとして、って言うけど、ひょっと、って何してるの?」  放課後、何度目かのチャイムが鳴る。最早何を知らせているチャイムなのか分からない。というより、何もかもすべてがなんにも分かりません、呆れています、といった表情のマチコがマツコに聞いた。 「うん待って、調べる」  マツコはすぐ調べてくれる。調べてくれるな、この子。とマチコはいつも思っている。最早思っているというより、想っている、と言っても過言ではないので「想っている」とマチコは言った。 「え?」

          つぼみのおもうところ

          わたくしのきせき

           わたくしのきせき こんにちは。否。はたまたしからばこんばんは。只鳴どれみと申します。  続々と申し上げますと、これはエッセイなのでございます。エッセー、エセー、なんて言い方もできたりする代物。それをやろうと決めたわたくしの名は、只鳴どれみと、ザ・申します。ル・申し上げます。あいや、すみません、名は先ほど既に申し上げ済みでございましたね。申し上げまくってすみません。しかしながら名は大事なので。 「こいつ何なのだ」と、お思いの方もさぞ多くいらっしゃるかと存じますが、まだまだこん

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          アメリカの入学式

           アメリカの入学式  アメリカに入学する事になった。  アメリカに入学する事になったのはいいけれど、そういう事に決まったのはいいのだけれど、どうやったらアメリカに入学できるのか、俺、教えてもらってないんだよね。でも決まっているので、アメリカへの入学は完全に決まっているとの事なので俺はしっかり入学しなくちゃな、って思ってる。決定事項だよ、って言われたので。俺は入学をしっかりする。それだけ。オーケー。まかせろ。レッツ入学。そう、それだけ。それだけって、俺、そう思うよ。  まず

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          シュー学旅行

          シュー学旅行   「大体がさ、何で漢字を日本の文字に取り入れたのか理解できない」 「え?」 「あ? だからさ、画数の多い、書くのも覚えるのも面倒でややこしい文字をさ、なんで採用したのかってことよ。な? え? あ? しかもさ、漢字から派生してひらがなやカタカナを生んでるわけじゃん。これはマジでいいと思うんだけどさ、画数少なめだし日本独自の発明って言ってもいいじゃん。でもさ、そしたらさ、ひらがなとカタカナだけで良くね?」 「あぁ」 「中国かどこかから漢字取り入れました、そこからヒ

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          ピュセル記

           ピュセル記  世界の大半が砂漠に覆われてからどのくらいの年月が経ったのか。そんな事を考える者も最早いなくなっていた。  ここにベネーセという土地があった。健康、美容への意識が高く医療の優れた土地。人々は健康診断と人体研究の日々を送っていた。  よく晴れた正午、砂漠を何かが駆けてやってくるのをベネーセの門番が見つけた。もの凄いスピードでこちらへ駆けてくる。馬……に乗った女?頭から爪先まで銀色の甲冑に身を包んでいるが、うなじ部分の隙間から黄金色の長髪をマントの様にたなびかせて

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          お腹が海をだきしめているみたい

           お腹が海をだきしめているみたい      ここ数週間どういうわけなのか急に便のキレが悪くなり、いつかやらかすかもな、と思って過ごしていた。便意を感じてトイレへ向かうも座ると何故か出なかったり、出たとしても何だか全然すっきりしない半端な感じが腹と肛門周辺に残留ししばらくするとやっぱりねといった感じで便意が再来する、というような日々が続いていたのだ。  この日も一度排便を済ませた後朝一番に郵便局へ向かったのだが、やはり半端便だったので、届け物の荷物を抱えながらの道中、同時に腹に

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          むかえに来る

           むかえに来る  テレビに知らない女が映っている。美女だ。どうやら女性俳優のようだった。  黒く長い髪はサテン生地のようにひと束になり、強く輝いている。美麗に整えられたその艶の束は、左肩前方へ流されている。その流れの先端はこちらの視線を導くかのように胸元へと続いていた。  女は胸元の広く開いた真っ赤なドレスを着ており、そこから覗かせるその胸もまた美しく、丁寧な弧を描いている。まるで微笑みのように穏やかで優しげな弧だった。白く、艶やか。そしてなめらか。吸い込まれそうだ。思わず

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          まさひろ

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