【やくだつ原子】Vol.6 「窒素(N)」(前編)
本日の原子「窒素」
キーンコーンカーンコーン♪
ひこまる先生
「さて、今回の授業を始める前に、前回取り上げた【リチウム】について、簡単に振り返りたいと思います。では、まずはMAXくんからお願いします」
MAX
「リチウムは、塩湖から採取されている」
喜多
「エネルギー資源として、これからはリチウムの時代!」
カミィ
「炎色反応の特性を利用して、花火にも使用されている」
YMT
「赤いのがリチウムを使用した花火でしたよね!」
ひこまる先生
「はい、皆さんありがとうございます!
私たちにとって、身近なリチウム。詳しくなることは、様々なことに活かせることができると思います。
さて、今回取り上げる原子は、【窒素】です。原子番号は7番で、聞いたことがある気体ではないでしょうか。皆さんは、どんなイメージがありますか?」
MAX
「大気中の気体では一番多いんですよね」
カミィ
「実験にもよく使われる、液体窒素に一度は触ってみたい(笑)」
YMT
「そういえば、急速冷凍させることで、食品の品質を保つって聞いたことがあります」
喜多
「(やべ、言うことがない)えっと・・・、うーん・・・、ち、窒息!?」
MAX
「ダジャレかよ!」
ひこまる先生
「はいはい!MAXくん、意外にそうも言い切れないんですよ。それについてはまた後ほど述べるとしましょう。
【窒素】は皆さんのイメージ通りの気体ですが、実は、私たちにとってなくてはならない気体の一つです。
大気の中の約78%は窒素で、以前学んだ酸素は21%ほどだということは、覚えていますよね?
生徒一同
「はーい!」
ひこまる先生
「以前の授業で酸素の大切さについてお伝えしましたが、窒素も非常に大切な原子です。人間の体を形成するタンパク質はアミノ酸から出来ており、そのアミノ酸には、窒素が含まれています。また、遺伝子を作る際にも窒素が必要です。窒素がなければ、生物は生きてはいけないということですね」
MAX
「窒素ってそんなに重要な原子だったんですね。それなのに、窒息にも関係してるってどういうことなんですか?」
ひこまる先生
「昔、ある科学者が窒素しか入っていない場所では生物は死んでしまうことを見つけました。もちろん、そこには酸素がないからです。そこで、窒息させる物質という意味で【窒素】と名付けられました。
生物に必要不可欠な原子なのに、それだけを吸い込むと死んでしまうという、まさに生物の生殺与奪の権を持った原子と言えるかもしれません」
喜多
「も、もちろん知ってましたよ!?」
MAX
「生殺与奪の権を、他人に握らせるな!」
(出典:『鬼滅の刃』/吾峠呼世晴 集英社)
YMT
「義勇さん・・・♡」
ひこまる先生
「鬼滅の刃で言うなら、窒素は富岡義勇さんですかね(笑)」
液体窒素から見える「科学のルール」
ひこまる先生
「次に、液体窒素についてですが、何℃かわかる人?」
カミィ
「確か、−196℃でしたよね?」
ひこまる先生
「カミィくん、正解です!さすがよく知ってますね。窒素の特徴は、−196℃という非常に冷たい温度で液体になることです。バナナを凍らせて釘を打つなど、テレビの科学実験ではよく使われますね」
喜多
「液体窒素といえば、でんじろう先生御用達のイメージがありますね(笑)」
MAX
「気体が液体になるってすごいですよね。液体窒素も凍るんですか?」
ひこまる先生
「MAXくん、良い質問です!窒素が液体になるのは−196℃なんですが、液体窒素は-220℃になると凝固します。物質には必ず、沸点・融点・凝固点というものがあるので、窒素も通常では気体ですが、液体にも固体にもなるんですよ」
喜多
「それが、原子のルールってことですね」
ひこまる先生
「面白いことを言いますね!確かに、それが原子のルールであり、そのルールを解明するのが、科学なんですね!」
MAX
「それにしても、-196℃って、冷たすぎですね(笑)」
そうですね。非常に冷たいですよね。ちなみに、先生は『レーザー冷却』を研究しています。レーザー冷却では、ほぼ絶対零度(-273.15℃)まで冷やすことができるんですよ!よかったらこちらのテキスト(コラム)をチェックしてみてくださいね。
それと、YMTさんが言っていた通り、食品を冷凍することにもに使われていますね。液体窒素を使うと、急速に冷凍することができるため、長期間に渡って、品質を保つことができるんです。
ちなみに、食品に関しては別の使い方もあります。食品は酸素に触れると酸化するため、劣化します。そこで、コーヒやスナック菓子などの包装に、窒素を封入することで、劣化を防ぎます。美味しいコーヒーが飲めたりお菓子が食べられるのは、窒素のおかげなんですね」
YMT
「改めて、窒素の有り難みがわかりますね」
カミィ
「これからは、窒素を感じながら飲食したいですね(笑)」
オーロラの不思議
ひこまる先生
「そうですね。有り難みを知ることは、とても大事なことですね。
前回の【リチウム】の授業では、花火にも利用されているということを話しましたが、窒素でも、色を楽しむことができます。それは、『オーロラ』です!」
喜多
「オーロラってあれですか?トヨタの車」
MAX
「それはカローラ!」
カミィ
「いやいや、西城秀樹でしょう!」
MAX
「それは、傷だらけのローラ!」
YMT
「OK〜♪」
MAX
「それモデルのローラ!!先生、続きをお願いします!」
ひこまる先生
「なんだか、MAXくんはこのクラスのツッコミとして定着してきましたね(笑)
主に、南極や北極付近で見られるオーロラですが、とても綺麗ですね。実は、オーロラは、原子が発光することで起こります。
みなさんは、オーロラは何色のイメージがありますか?」
YMT
「よく見るのは緑色じゃないですか?」
ひこまる先生
「そうですね。緑色のオーロラがよく見られるオーロラではないでしょうか。
では、こちらの画像を見てください。
緑色がありますが、ピンクや紫もありますよね?この色の違いは、原子で色が変わります。
緑色は酸素が反応したものです。では、窒素はというと、ピンク色と紫色に関係があります」
喜多
「先生、やっぱり芸術は爆発ですね」
ひこまる先生
「本当にその通りですね。
日本では中々見られないオーロラですが、北欧などでは見ることができるので、旅行に行った時は、この授業を思い出して、どんな原子が発光しているか、クイズにしたりして、楽しんでください(笑)」
生徒一同
(いつか恋人と一緒にオーロラを見に行こう・・・)
ひこまる先生
「さて、【窒素】の特徴などについて述べてきましたが、【窒素】について、面白いお話があるんですよ。ただ、ちょっと長くなってしまうので、次回の授業で取り上げたいと思います。
それでは、【窒素】の授業、前編を終わります」
道楽舎では、「なりたつ原子」アニメ化プロジェクトを実行中!!物語にして小説化、漫画化、そしてアニメ化を目指しています!
「やくだつ原子」シリーズもプロジェクトの一環として、書籍化を予定していています。過去コラムも今のうちに要チェックです!
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