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アドレナリンと麻酔

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アドレナリンと麻酔薬の関係を理系科目が苦手な方向けに説明してみようと書いてみた一連の記事です。最終的な目標はデクスメデトミジンという麻酔薬について何となく理解してもらうことと設定…
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アドレナリンと麻酔 #5

前回(#4)は、アドレナリン受容体の種類について書いた。
そして、記事の最後に#5ではデクスメデトミジンについて書くことも予告していたので、予告通りに書き進める。
ただ、ほぼ毎回言っている通り、この記事は理系科目が苦手な方でも読めるように書いていくつもりなので、知っている人にはじれったい記事になることをご了承いただきたい。

前回までに説明して今回サラっと使う専門用語について簡単におさらいをすると

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アドレナリンと麻酔 #4

#3 では受容体とは何かという説明をした。アミノ酸というレゴブロック1ピースをたくさん積み上げた構造物がタンパク質であり、特定のモノ(これを専門用語でリガンドと呼ぶ)をキャッチすることでスイッチが切り替わるタンパク質が受容体であるという説明であったと思う。
理系科目が苦手な方にも読んでいただけるよう書いているつもりなので、色々とまた補足説明という名の脱線をするかもしれないが、今回はいよいよ「アドレ

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アドレナリンと麻酔 #3

#2においては 、ノルアドレナリンの話をした。名前がアドレナリンのノル(化学構造が1つ欠けている)であるという、アドレナリンありきの名前でありながら、脳内ではアドレナリンよりもよくその働きが知られていて、中でも睡眠と覚醒に関わる機構におけるノルアドレナリンの役割は、その機構を利用して麻酔をするための薬まで作られる程度にはよく分かっているという話をした(つもりである)。
今回の記事では、それだけ色々な

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アドレナリンと麻酔 #2

#1ではホルモンの話に文字数を使ってしまい 、ノルアドレナリンの説明が「アドレナリンより知名度が無い」くらいしか出来ていなかった気がする。
ので、今回はノルアドレナリンについて厚く書いていこうと思う。

まず、ノルアドレナリンのノル(Nor-)の意味は、元となる化学物質から一つ欠けた(大抵メチル基が欠けている)ものを表す接頭辞であるらしい。
実際、アドレナリンが発見されたのは1901年であり、ノルア

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アドレナリンと麻酔 #1

興奮・緊張の表現として「アドレナリンが出まくって」という言い回しが非医療従事者のお友達の口から出まくったとしても、私は「この人は陰で医学を独学しているんだ」とは考えない。
それくらいには、アドレナリンという言葉はホルモンの中では認知度の高い物質であると思っている。
ただ、2文字足して「ノルアドレナリンが出まくって」という話をしだすお友達がいたら、私は「この人空気読めないんじゃないかな」と考えてしま

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