アドレナリンと麻酔 #1

興奮・緊張の表現として「アドレナリンが出まくって」という言い回しが非医療従事者のお友達の口から出まくったとしても、私は「この人は陰で医学を独学しているんだ」とは考えない。
それくらいには、アドレナリンという言葉はホルモンの中では認知度の高い物質であると思っている。
ただ、2文字足して「ノルアドレナリンが出まくって」という話をしだすお友達がいたら、私は「この人空気読めないんじゃないかな」と考えてしまう。
2文字足しただけでそれぐらい認知度の差があると私は思っている。

今回からちょっとずつ麻酔とアドレナリン・ノルアドレナリンとの関りを記事にして整理していく予定だが、この記事はあまり理系科目に明るくないと言う人でも読めるようにしたいと考えているので、アドレナリンとノルアドレナリンの説明以前のホルモンから説明していく。

まず、ホルモンとは体の中の細胞が別の細胞に連絡をするために使う物質のことで、例えば、アドレナリンは副腎という腎臓の上に乗った小さい臓器でつくられて全身の細胞に連絡をするホルモンである。(細胞は義務教育の範囲内だと思うので説明は割愛)
焼肉のホルモンはアドレナリンなどのホルモンとはまた別の言葉で、この同音異義語が結構紛らわしいと小学生くらいに考えたことがあるが、「はし」でも同音異義語が色々あるのと同じで仕方のないことだと考えなおして無理矢理納得した覚えがある。

また、アドレナリンやノルアドレナリンはホルモンであると同時に神経伝達物質でもあり、これもまたホルモンとは若干違う用語なので整理しておく必要がある。
神経伝達物質とは、神経と神経をつなぐシナプスという小さな隙間でのやり取りを媒介する物質のことで、シナプスは小さいプールのような空間なので、原則、シナプスに出た神経伝達物質は、神経伝達物質を出した側の神経が回収する。
脳の中での話をするときは、アドレナリンよりもノルアドレナリンが神経伝達物質としての話で出てくることが多いように感じる。(ちょい薬学かじったニート並感)
ホルモンが細胞から別の細胞へ連絡のために使う物質であるのに対し、
神経伝達物質は神経細胞から神経細胞へシナプスを通して連絡するための物質である、という違いである。

ここまで麻酔要素が全然なかったので、ちょっとだけ触れると、麻酔薬を使う際にアドレナリンも一緒に使うことがある。
これは、アドレナリンが血管に作用するとき、血管を縮ませて血流を少なくする働き(血管収縮作用)があり、十分な麻酔の濃度を保ちつつ、麻酔が血流にのって余計なところに流れていくのを遅らせることを期待しての使用である。

参考:


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