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とある夫婦の平凡な日常。

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#バレンタイン

【小説】茶色の兎:二月 後編

 結論から言うと、香月は仕事を辞めないらしい。
 どうにも旦那となる人はフリーランスで軌道に乗り始めたばかりで、収入が安定するまでと、何かあったときの備えとして、今のうちに稼いでおこう、というわけだ。
 籍を入れるのは三月末。年度変わりに合わせた方が、書類の変更などが楽だろうと、会社に配慮をしているようだった。
 そんなもの、上側の仕事だから、好きな時に籍を入れていいんだぞ、と言うと、実は二人の出

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【小説】茶色の兎:二月 前編

 リモートワークが増えたのは私にとって僥倖だった。
 なにせ、乗車率が百パーセントを超える電車に乗る必要がない。

 電車通勤のときの出勤は大変だった。
 片道三十分以上の道のりを電車内でなにをするでもなく、ただただ無心で前の人の頭頂部、を見られればまだ良かったのだろうが、あいにく私の身長ではせいぜい後頭部をうらめしそうに見つめるしかできない。
 同じ苦境を共にする仲間の後頭部を睨むのは、いささか

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