2021年2月の記事一覧
【短編】2月2日、夜、鬼やらい
「それで、息子さんが外に出ようとしたら、足の指先が切れたんですね?」
その青年は玄関の外から声をかけてきた。
「えぇ。そ、そうなんです」
母親は震えながらそう言った。平屋の一軒家、上がりがまちに敷いた絨毯の上にへたりこみながらも、腕には息子を強く抱きしめている。
「さっきも電話で伺いましたが、スッパリ綺麗に切れていて? もう血は出ていない?」
「えぇ、はい。あの」戸惑いながら母親は続ける。「数
「それで、息子さんが外に出ようとしたら、足の指先が切れたんですね?」
その青年は玄関の外から声をかけてきた。
「えぇ。そ、そうなんです」
母親は震えながらそう言った。平屋の一軒家、上がりがまちに敷いた絨毯の上にへたりこみながらも、腕には息子を強く抱きしめている。
「さっきも電話で伺いましたが、スッパリ綺麗に切れていて? もう血は出ていない?」
「えぇ、はい。あの」戸惑いながら母親は続ける。「数