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一万編計画

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一万編の掌編小説(ショートショート)を残していきます。毎日一編ずつ。
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2022年1月の記事一覧

時計が追う。

秒針に音色を付けた人を呪いたい。チック、タック。チック、タック。僕達は時間に追われるよう…

躁鬱。

希望も絶望も違いがない。コインの表裏とかそういう次元ではなく、それは純粋な混沌に近い。瞬…

慧可断臂。

神様は、人間が嘘をつくことに辟易していた。知恵の実を齧った時から信用はしていなかったが、…

恥部か、仮面か。

子供の頃から、仮面を見ることができた。幸か不幸かは分からない。それが、人が着けた仮面をあ…

本を貸す。

貸す本には、念を込める。貸したい本というものは、その人を見てると自然と浮かんでくるものだ…

貴方が好きだった小説。

貴方が好きだった小説を憶えている。三島由紀夫『豊饒の海』。貴方と読み合った小説。毎週、貴…

効率的な拷問。

「こちらが、最新のVRヘッドになります。よかったら、デモプレイをなされますか? 」 「ぜひ! 一度試してみたかったんです」 「こちら、グローブになります。ボクシングゲームをプレイしていただきます」 「楽しみですね」 若い男性は嬉々として、VRヘッドを装着しようとする。イヤホンは、ひとりでに耳の穴を覆う。 「ボクシンググローブをつけてください」 椅子に縛り付けられた女が、若い男性の前へ運ばれる。どんなに叫んでも、塞がれた耳の奥には届かない。 「相手が表示されたら、

大人園。

「早く、スーツに着替えなさい」 「はぁい」 寝癖の頭髪に、無精髭。お父さんは、いつも準備…

喧騒の只中。

片田舎のパチンコ屋は、その喧騒と裏腹に人がまばらだから好きだ。脳の回転を止めたい時にぴっ…

ヴェール、編む。

「探求欲は、原罪ね」 機織り機の埃をはらう。寡婦は濃藍の糸を掛ける。 「世の中、知らな…

閑暇街。

ネオンは、街を浮き彫りにする。空虚なストリート。この街で生きる人だけが佇んでいる。その数…

飛行機上のクロノスタシス。

飛行機の小さな窓から雲海を眺めていると、止まっているような感覚になる。雲海は、まるで魔法…

剪定。

友達が枯れきってしまいそうだ。一人暮らしの生活で、何でも受け入れてくれるのは友達だけだっ…

三本目の腕。

三本目の腕は、ある早暁に肩甲骨の間に生まれた。眠りが病的に深い僕にとって、日が昇る前に目が覚めることは、虫の知らせを感じざるを得ないことではあった。僕はどこかむず痒さを抱えながら、台所へ向かい一杯の水を飲んだ。しかし、徐々にその違和感は背中に集約されていき、背中を掻いた僕は文字通り腰が砕けてしまった。そこに、三本目の腕が生えてくるなんて誰が想像つくだろう? 三本目の腕は爪のように少しずつ、しかし確実に伸びていった。病院に行くべきだろうか。しかし、何科に行けばいいか皆目見当