時計が追う。

秒針に音色を付けた人を呪いたい。チック、タック。チック、タック。僕達は時間に追われるようになり、リズムを支配される。気付けば規則運動ばかり。僕達のジャズ的な余白は、蝕まれてしまった。

ある一つの概念を現世に落とし込む手段として、音がある。音はとても危険な代物だ。一度その音を耳にしてしまうと、それ以降は耳にしなくても記憶で脳内に反響してしまう。一度脳にへばりついた音を取り除くことは難しい。チック、タック。もう、そのリズムから外れることはできないのだ。

僕の頭は、チック、タックで溢れかえっている。〆切。チック、タック。号砲。チック、タック。他人。チック、タック。ギークでジャンキーな時間を過ごしてみたい。だから僕は、脳内清掃を真面目に研究している。しかし、それはしばしば新たな騒音を生んでしまうから、僕は常に葛藤している。チック、タック。そろそろ、床に就こう。


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