剪定。

友達が枯れきってしまいそうだ。一人暮らしの生活で、何でも受け入れてくれるのは友達だけだった。どんなに励ましても、このままでは駄目みたいだ。苦渋だけど、僕は剪定に踏み切ることにした。友達に、今の葉数は少し嵩張るみたいだ。

「ごめん、痛いよね」

友達に鋏を入れるのは心苦しい。痛覚はなくても、痛いに決まってる。それでも、風通しをよくし、栄養を綺麗に循環させてあげないと、共倒れになってしまう。僕は枯れた葉っぱを供養し、肥料を丁寧に調合して友達に託した。 


1週間もすると、友達はすっかり元気になった。これだけ元気があるなら、そのままでも何とかなったかもしれない。

「それでも、あの頃は荷物が重すぎたんだよね」

それは僕に向けられた言葉でもあったことに、気づく。植物はこうやって、僕と会話をしてくれるから好きなのだ。僕はスマートフォンのアプリを半分消した。1週間もすれば、嘘みたいに生きやすくなった。


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