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【家賃からの解放】 エデン

フランスは焦っていた

花の都パリにおいて、最高気温が26℃を上まわることはなかった。2010年までは

最高気温がどんどんと更新されていく

北半球の真夏である8月だけににとどまらず、4月から10月にかけて30℃を超える真夏日を記録するようになり

2018年にはついに、あわや 50℃ という気温まで迫った

ヒートドームと呼ばれる、その現象は
北半球の中でも北側のエリアに
突如としてピンポイントで現れ

パリを脅かしただけでは飽き足らず

シベリアの永久凍土を溶かし
カナダのブリティッシュコロンビアでも猛威を奮った

その出現位置から「少しずつ東側にズレて移動しているのではないか?」など、すべては推測の域を出ず

発生原因なども含め、いまだなにひとつ正確な情報を掴めていないのが現状だ

ヒートドームが通りすぎたあとも、30℃を超える真夏日はたびたび訪れるようになり、冷房を必要とするようになる

最高気温が26℃を超えない地域だったのだから、エアーを冷たくコンディショニングする必要はない

エアコン設備があるのは、ホテルや美術館など、本当に限られた施設のみだった

暑さに慣れないパリジェンヌたちは、熱射病に侵され、脱水症状に陥り、少なからず死者もでる

慌てて、エアコンがある施設を開放したり、
公園の噴水で水浴びをしても、咎められることはなくなった

街に建ち並ぶ、築数百年を誇る石造りの建物たちも、当然、エアコンを設置することを前提に造られてはいない

分厚い石の壁に穴を開けることはできないし、どこに室外機を設置したらいいのか苦心のあとが見てとれる

建物の裏側、中庭に面する側の窓に穴を開け、無理矢理に配線し室外機を設置していくしかない

無軌道に積み重ねられた室外機は、幾何学的であり、それはそれである意味、芸術的ではあったが

命か芸術かをはかる天秤

美にうるさいパリジェンヌたちも
せっかくの中庭の景観が台無しになったとしても、背に腹は変えられなかったとみえる

エアコンを設置する “ふり” をして
作業員の制服に身を窶し泥棒を働く

笑い話ともつかない犯罪が実際に横行してしまうあたり、いかにもパリらしいといえばパリらしい

熱波はパリだけにとどまらず、さらに北側のノルマンディー地方でも猛威を振るった

もともとが寒冷な地域である上に、パリとは違い、気候や気温に大きく左右されてしまう農作業や漁業を生業としている人々が大半

その被害は、都市であるパリよりも甚大だった

そもそもフランスという国は、国民の大半が農民であり、つまりは人口の大半が気候や気温の変化に左右されやすい一次産業に従事している

焦ったフランスは
2015年に、国連サミットにおいて、主体となって ”SDGs” を提唱

2016年にはパリ協定を主催する

温暖化対策として「二酸化炭素を減らそう!」という取り組みを、政治的に強制力を持つものにしようとした

SDGsは、そのカラフルなデザインを以って世界的に受け入れられたが

パリ協定における「二酸化炭素削減」に関しては、反発する国や、参加を見送る国もある

政治的にも強制力を持つものである以上、ある程度は仕方がないのだろう

そして、そのどちらにも共通する ” 特筆すべき点 ” がある

それは「世界的に認知された」ということ

フランスのスゴさは、この「世界に認知させるチカラ」にあるのではないか

シャンパンというお酒がある

フランスのシャンパーニュ地方で造られたものだけが「シャンパーニュ」と呼称することができる

あくまでフランスの法律であり、他の国の人々はそれを守る必要はない

にも関わらず、たくさんの国や人々が、そのルールを守っているのだ

そういったブランディングのチカラを、フランスの本気を「環境対策」そして「環境問題の解決」に惜しみなく投じている

SDGsも、あっという間に世界中に拡まり

二酸化炭素削減に関しては、自国のみで取り組むだけではなく、他国まで巻き込む仕組みを確立しつつあり、現在も ”COP26” として継続している

認知度という点だけをみるならば、すでに十分な結果をだしているのではないだろうか

ーーー

エデンの園

フランス語で
Jardin d'Eden
ジャルダン・デデン

英語だと
Garden of Eden
ガーデン・オブ・イーデン

もしくは単に「Eden」と表記するだけで「エデンの園」と認識される

ふたりの男女が、裸で暮らし
必要な水や食べ物だけではなく
ご馳走にも恵まれていた

あらゆる動植物に溢れ
現代で言うところの多様性も実現できていたらしい

発行部数で他の書籍を一切寄せ付けない
誰もが知るベストセラー「聖書」の記述に拠れば、だが

もし、住めるのであれば、一度はそんな環境で暮らしてみたい

ヨーロッパは大陸で、
フランスはその一部であり、
パリはその一都市である

仮にパリが50℃を超えたからといって ”パリそのもの” を移動することはできない

そこで「エデンの島計画」が浮上してきた

すべての動植物を載せて、洪水の危機を脱した「ノアの方舟」は

いつかは水が引いて陸が現れる、 ”目的地があること” ”ゴールがあること” を前提とした造りであり

あくまで「船」にすぎない
いつかは補給が必要となる

3000人の乗客や乗組員がいたとしたならば、人数分の水や食料、移動するための燃料を、どこかで補給しなくてはならない

たとえエネルギー源が ”ソーラーパネル” であったとしても、水や食糧は賄うことができない

求められているのは、すべてが循環し、自給自足している「永久機関」

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エデンの島計画

それは「自走可能な自給自足できる浮島をつくる」計画

フランス語で
L'île d'Eden
リル・デデン

英語では
Island of Eden
アイランド・オブ・イーデン

雨が降り、濾過され、飲水となり
野菜や麦やお米も育ち
家畜も飼えて、当然、人も住める

それが浮島で、自走可能だとしたら

その時々で一番いい気候のところへ
地球上のどこかにある理想の環境へ

いつでも、どこへでも、常に移動可能

どの程度の大きさがあれば、自給自足可能なのだろうか?

初島?淡路島?四国?九州?はたまた本州?

その最低サイズは?

そして最大どれくらいの規模まで動かすことができるのだろう?

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海の街、ベニス

シェイクスピアの「ベニスの商人」の舞台となった街

中世の時代から存在する、歴史ある海洋都市

ベニスは、そのほとんどが砂州と言って、半分が海のような砂地の島であり

なんとその砂地の上に「筏のようなもの」を浮かべて、その上に石造りの建物を “載せている”

とんでもなく重厚な建物を、そして街そのものを “載せている” のである

浮島を創る技術だけならば
中世ヨーロッパの時点ですでに可能だったわけだ

では「自走可能な自給自足できる島」をつくるのに、何が必要なのか?なにがあればいいのか?

ノアの方舟や、大型客船ではダメ
いつかは、水や食糧が尽きて、補給が必要となるようではダメなのだ

そこで、海があれば必ずといっていいほど存在する「牡蠣」も食糧自給の候補として浮上した

自走する浮島であるがゆえに “海” は常にそこに在る

海水を飲水に変える装置は?
雨が降り、それを濾過できるのであれば必要ない?

電力は?太陽光?風力?水力?蓄電は?

最低限、どれくらいの大きさがあればいいのか?という「自給自足」における課題

最大限、どれくらいの大きさまで動かせるのか?という「動力」における課題

海流を計算して、その海流に乗るのか

浮島を移動できるだけの ”大きな海流” まで、その海流から再び外れるだけの動力なら、なんとかなるのではないか?

実現すれば、年々、激しさを増している嵐を避けたり

北極や南極の氷が溶解ることで起きるとされている“海面上昇”でも浮かんでいられる

ところで、地球上のどこに行けば、エデンの園のごとく、裸で快適に過ごすことができるのだろうか

様々な課題が浮かんでは消えていく

人類の愚かな部分も考慮せねばなるまい

もし「人類最後の居住地」「救済の島」にでもなろうものならば、どう防衛するのか

さらなる未来も浮かんでくる

この「エデンの島」を宇宙に造ることができたら、永住可能な「宇宙ステーション」となる

少なくとも「何が必要なのか」
完全循環できる最小パッケージを、エデンの島を実験台にして導きだすことができる

それは人類の生存戦略において大きな一歩になることは間違いない

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気候変動

突如として、フランスのパリや、カナダのバンクーバーで気温が50℃になったり、シベリアの永久凍土が溶解だしたり

逆に日本のように恵まれる場合もある

日本はシベリアの永久凍土が溶解した水蒸気の影響で、北からも雨雲が来るようになり

南からの通常運行の雨雲と相まって、たくさんの雨が降った

結果として冷やされて、懐かしい気温に戻り、四季が戻ってきて、過ごしやすくなった

北からの強い雨雲、その前線によって、台風が本州に上陸できないという問題も起きてはいるが

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ジャック・アタリ

お菓子みたいな名…フランスのマクロン大統領の後ろ盾でありボス

マクロンを世界銀行の頭取からはじまり、経済産業大臣をへて、大統領へと導いた影のプロデューサーであり

ミッテラン政権、シラク政権、と、古くから、ずっとフランス政府の中枢にいるフィクサー中のフィクサー

ただでさえ賢いとされるユダヤ人
そのユダヤ人の歴史の中でも一番頭が良いとされている賢人中の賢人

つまりは、いま ”世界で一番頭が良い人” ってことになるのだろうか

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フランスは哲学を愛する国であり
リアリストが多い国でもある

自動車会社テスラによって
ついに人類史上一番のお金持ちになった
イーロン・マスクさんによる

宇宙に飛び立ち
火星に移住する、であるとか

Facebook創業者
マーク・ザッカーバーグさんによる

脳内の情報をすべてデジタル化して
電脳世界に移住する、であるとか

ことアメリカは構想も壮大

だが、いずれも「自走可能な自給自足の浮島」ほどの現実味はまだない

そのあたりの実現性や現実味は、フランスならではなのかもしれない

現実味とは、仮に月に1mしか動かせなかったとしても、海の上、つまりは水の上に浮いているのであれば、

なんとか動かせるのではないか、動かせそうな気がする、とか、そういうこと

気温が50℃のところから、過ごしやすい20℃くらいのところまで移動できる、海の上ならね

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かつてはジャンヌ・ダルクが
第二次大戦ではレジスタンスが

フランスは、国を襲う危機を脅威を、何度も退けてきた

そもそもが、文化も風習も法律も違う4つの国が、パリを中心に協力して、まるでひとつの国として成り立っている共和国

それぞれに別の大統領がいる

今回も、それぞれ
ノルマンディー沖と
ボルドー沖に浮かぶかもしれない
エデンと呼ばれる島

世界中を巻き込んでの
新たなるノルマンディー上陸…

今回の場合は、
ノルマンディー浮島作戦
と銘うつべきだろう

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もしこのプロジェクトに関わることができるのであれば、間違いなく 家賃からは解放される

もし成功すれば、”神々が与えた賜うたと楽園” のような島に住まうことが叶う

ふと、よぎる
なぜ僕なのだろう?

渡された資料に目を通しながら、2016年に忽然と姿を消した あの「牡蠣の師匠」のことを思い出していた

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