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資本主義を乗り越える「僕たちが"今を生きる力"としてのデザイン」

デザインの歴史。
それは資本主義の歴史とも重なり合う。
デザインの発展は、経済の発展とともに成されてきた。

人類史の視点から見れば、デザイン史は短い。まだせいぜい160年ほどである。
ただしこの160年の間、人類の社会は劇的に、そして今なお加速を続けながら変化している。

産業革命
エネルギー革命
デジタル革命

そしてAI元年と呼ばれる2023年

ラジオやテレビが影も形もなかった時代から、誰もがスマートフォンを片手に(今や腕・耳・目へのウェアラブルな形で)インターネットへ常時接続し、インタラクティブに複雑にあらゆるモノゴトが行き交う時代へ。
街の風景は、生活様式のグローバル化や建築物の巨大化によって、400年間大きな生活様式の変化を見なかった江戸時代の比ではなく、ちょっと目を離した隙に10年単位で別世界へと変貌を遂げていく。

人類史上かつてないダイナミックな変化だ。

そんな激動の時代でデザインは生まれ、世界中にその役割が認められ、端的にそれは
『商品のためのクリエイティブ』
として歴史は始まった。

衣食住の生活必需品から、より暮らしを便利に加速させた自動車やパソコンなどのプロダクト、そしてブランド製品などの贅沢品と呼ばれるものまで。
さらには『モノのデザイン』から『コトのデザイン』へのパラダイムシフトとして、『デザイン経営』というものが言語化・定義され、経済活動のあらゆるフェーズでデザイン的思考が求められるようになってきた。

それは、換言するとすれば、『大量生産・大量消費を加速するクリエイティブ』でもあった。
日本の経済発展で概観するならば、高度経済成長を経て、冷蔵庫・洗濯機・テレビなどの『生活に必要なものが出揃った』社会において、経済成長のためのファクターとして、商品を生産し消費させ続ける必要があった。

・毎年トレンドの変化するファッション業界で提示される新デザイン。
・すでに持っている自動車を新しく買い替える動機としての新デザイン。
・より多くの食品を提供するパッケージの新デザイン。

さらに長期不景気でモノが売れない社会においては、商品化がモノからコトへと対象を移し、デザインの価値設計を経営レベルで行なっていく。
いわゆるデザイン経営という概念が、今、確実に社会に広まっていっている。あらたな経済成長の場を求めて。

そんなデザインが牽引してきた大量生産・大量消費に、今「待った」が世界規模で提唱されはじめている。

その「待った」と呼応するように、

『ソーシャルデザイン』
『Co-Design』

ソーシャルデザイン英語: social design)とは、社会をどう築くのかという計画。デザインの対象はモノだけではなく社会である。その対象は社会インフラの整備から社会制度までと幅が広い。

コ・デザイン(CoDesign)
デザイナーや専門家と言った限られた人々によってデザインするのではなくて、実際の利用者や利害関係者たちとプロジェクトのなかで積極的にかかわりながらデザインしていく取り組みのこと。
Coは、接頭語で、「ともに」や「協働して行う」という意味。

という新たなデザイン定義が現れてきた。

経済成長のためではなく、社会成長のためのダイレクトなアプローチとしてデザインが活かされ始めている。

時代に呼応するデザインの再定義。

それは常に変動の時代を生きる僕たちに必要不可欠な「生きるための知恵」
ではないだろうか。
いま、改めてデザインを学び、デザイン思考を身につけ、そして身の回りをデザインし直す。デザインに対して常にメイクセンスする。
それは、経済成長とは別の、新しい価値軸の体得の試み。

デザインを学び、デザインの定義を考え続けるWEBマガジン
『MAKE SENSE DESIGN』
始めます。


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