イタリア美学Ⅻ――フィレンツェにあるイタリアンジャパニーズレストラン「心」の豚の角煮丼と、日本人がイタリアに住んで仕事するっていうことの意味について考えてみた――
フィレンツェにいて、街のひととはたまに話す機会があるし、イングリッシュパーティーに出たり、語学交換アプリ使ってイタリア人と話したりしても、不思議なことにフィレンツェのことをフィレンツェって呼ぶひとは少なくて、みんなフローレンスFlorenceって言葉でこの土地を呼んでる。
だからここでもフローレンスっていう言葉を使うことにするけど、僕個人は自然が豊かで、穏やかな街だなぁって感じがして、すごく好きだ。
僕が宿泊してるホテルの近くには、「心」っていう名前のイタリアンジャパニーズレストランがあって、入り口に着物とか、こけしとか民芸品がおいてあるお店なんだけど、この店も大当たりだった!
その時、接客してくれたウエイターさんは、四〇代くらいの礼儀正しいひと、少しだけしゃべったけど、すごく感じがいい。
心には、アサヒビールとか、枝豆とか、竜田揚げとか、刺身とか、お寿司とか、アボガド丼とか、いろんな種類のものがおいてあって、どれにしようかすぐに決められないくらいいい品がそろってた。
最終的に僕が頼んだのは、豚の角煮丼で、これがとてつもなくおいしかったんだよね笑
上に乗ってる半熟の煮卵も、イタリアでは割と完熟の卵が多かったから、大好きな半熟卵、食べててしあわせだったし、そもそもイタリアンには、豚肉をみりんとか、お酢とか、砂糖とか、しょうゆでアレンジして食べるってなかなかないから、あれも懐かしい感じがするくらいおいしかったーー、ついこの前まで日本にいたのに笑
お米は日本のコシヒカリを取り寄せて、イタリアで育てたものを使ってるそうで、この頃、イタリアで食べるお米とか、トルコレストランで食べるビリヤニとかばっかり食べてたから、みずみずしくて、やわらかい感じがよくて、変な話、癒されるっていう感じがした。
そうなんだけど、イタリアの硬水を使って、育てたり、炊飯したりしてるから、やわらかいんだけど少しだけ硬い感じもして、それがイタリアのお米の感じに似てる。
もちろん、僕は日本にいても、インドレストランのビリヤニとか、イタリアンレストランのリゾットが好きで、アマゾンでリゾット米を買って、アスパラガスのリゾット、食べてたくらい好きなんだけど、日本のお米も好きだなぁ。
ああいう感じって、日本のいいところだなぁって思う。
ひとを癒せるようなやさしさ、それも食べ物にそれを感じるって、すごいことなのかもしれない。
心のひとは日本の食文化のいいところをよくわかって、フローレンスのひとに届けたいっていう真心があるんじゃないかって気がする。
とにかく豚の角煮丼を食べて、僕は大満足した。
イタリア人がアレンジした日本の創作料理もすごく好きだけど、イタリアに来て、日本のよさを発信したいって気持ちで作った料理、これも大好きだなぁ。
そういえば、村上隆っていう、アーティストもひとり、ニューヨークでアートやるって意気込んでいったけど、あんな大物アーティストでも、はじめはなにしていいかわからなくて途方にくれたらしい。
そんなときに、本屋で日本の将棋の漫画を見て、思わず泣いたっていってたのを思い出す。
彼、売れなかった頃、借金、五〇〇万円あったけど、それでもアートやったんだって。
続けてきたこと途中で投げ出すのは、自分がこだわってることとか、仕事であれば、必ずや不幸につながるから。
村上隆のアートや動画はその時のこと、よく覚えてるなぁっていうの時々感じるから、好きなんだよなぁ笑
僕はかなり淡白なところあるから、気を遣ってるふりしてるだけになっちゃうことよくあるけど笑
太陽のお祭りは、日本人である僕が考える未来の理想のイタリアンカルチャー像を、イタリア人と東欧の人々に届けたいって気持ちもあって作ってる。
もちろん、日本の文学好きの人々とのつながりも意識してるから、日本の文学の情報はたくさん掲載するし、日本語で書いてるから、翻訳してもらうことを期待してても、日本の人々に情報するサイトというニュアンスが強い。
もっといえば、日本に住むひとで同じ物語をいいと思ってくれる人の心の安らぎや、休日の楽しい過ごし方のひとつのあり方や、恋愛の刺激にしてもらえたらなぁっても思う。
心のお店のこととか、村上隆のこととか、今でも日本にいて、僕となかよくしてくれてるひと、それはもちろんSNSにいて仲良くしてくれてるひともそうで、いつでも忘れないで、生きていきたい。
村上隆はすごいよなぁ。世界のひとの関わりの中で仕事してるから。仕事って仲間ももちろんだけど、いろんなひとへの理解がすごく重要だなぁって、こっちきてから思ったから。
僕の仲間にはやりたい放題やりまくってる姿も見せたけど、ほんとにいい人多くてすごく幸せだなぁって思いますよ、心から感謝してます笑
それじゃ、また太陽のお祭りよろしく。
了
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