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深い穴に落ちてしまった【ダーク版:星の王子さま!?】

『星の王子さま』は皆さんご存知でしょうか。
言わずと知れた、世界的大名作です。
実際に読んだことはなくても、題名は聞いたことがあるという方は多いでしょう。

今回ご紹介する『深い穴に落ちてしまった』は「現代版『星の王子さま』」とも言われています。
私はどちらかというと、「大人版」、「ダーク版」という方がしっくりくる感じがしました。


〇著者

イバン・レピラ (著)
白川 貴子 (翻訳)

〇ジャンル

小説
(どちらかというと、ミステリーに近い)

〇あらすじ

名前も年齢も分からない兄弟が深い穴に落ちてしまい、そこから脱出を試みる話

なぜ章番号は素数だけなのか。兄弟は何者で、なぜ穴に落ちたのか。ふたりが辿りつく結末は、驚愕と共に力強い感動をもたらす。

『深い穴に落ちてしまった』裏表紙より

この紹介文を読んで購入即決。
特に「なぜ章番号は素数だけなのか。」が気になり過ぎる!

〇感想

・舞台は基本的にずっと穴。登場人物も兄弟ふたり。
このような設定で約130ページもあれば、どこかで飽きたり、中だるみしたりしそうだが、全くそんなこともなく、単調にもならない。

・次々に展開が起こるというよりは、1つの状況や登場人物の心理を深いところまで描写していくタイプ。

・兄弟が穴の中で過ごすうちに、高熱、栄養失調、幻覚、妄想、失語症など色々なことが起きる。
自分ならおそらく絶望して、すぐに死んでしまうかもしれないが、いざその時になってみないと分からない。

・極限状況を描く小説を読むときは、「怖いもの見たさ」と同時に「自分ならどうするか、どうやってその危機を乗り越えるか」を考える。
しかし、それは「実際には自分の身には起こらない」というある種安全な場所からの眺めである。
でも、それによって日常生活での困難や苦境に対して、光や希望、活力が生まれることもよくあり、それこそがこのような小説を読むことの1つのメリットであるようにも思える。

・穴は何かの比喩なのか、なぜ落ちたのか、そもそもこの2人は誰なのか、誰のことを指しているのかを想像しながら読むと面白い。
というか、自然とそういう視点で読んでしまう。 最後まで読むと何が分かって何が分からないのか。

・この本は章番号が素数になっていたり、暗号が散りばめられていたりと、メタ的視点でも楽しめるので、ミステリーや謎解き好きも大いに楽しめる。

・考察のしがいがあるというか、人によって解釈が大きく変わってきそう。(作者自身もそれを認めている)
もう一度読むと感じ方も全然違うだろうし、また新たな発見がありそう。
これが世界的に読まれている本の凄さか。

・「現代版:星の王子さま」と言われているが、そんな暖かい話ではなく、もっとダークな感じがする。

以上です。
気になった方はぜひ読んでみてください。

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今回ご紹介した『深い穴に落ちてしまった』は、松本(長野県)でブックカフェ巡りをした際に出会うことができた1冊です。
よろしければ、こちらの記事もぜひご覧ください。


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