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教室が、ひとりになるまで【青春×ミステリ×能力者!?】

他人を自殺させる能力……??
そもそも「能力」って何?

ミステリと言えば、推理小説や探偵小説といった、いわゆる「事件の解明」や「謎解き」が思い浮かびますよね。

事件が発生して、それを探偵ポジションの人が中心となり、事件の経緯を明らかにしていき、最終的に読者は「こんなトリックが!」「まさかこの人物が犯人だったとは!」と驚かされます。

今回紹介する『教室が、ひとりになるまで』は、何と、能力を持った人物が登場します!(しかも複数人)

【青春×ミステリ×能力者】果たして面白くなるのでしょうか……?


〇著者

浅倉 秋成

〇ジャンル

ミステリ小説(特殊設定ミステリ)
本格ミステリ大賞&日本推理作家協会賞Wノミネート

〇あらすじ

ある高校で生徒の連続自殺が発生する。

トイレでの首吊りや校舎からの飛び降りが原因で、誰がどう見ても自殺としか思えない状況。
「全員が仲のいい最高のクラス」での連続自殺に戸惑う生徒たち。

しかし、垣内友弘(主人公)は、幼馴染みの同級生・白瀬美月から信じがたい話を打ち明けられる。
「自殺なんかじゃない。みんなあいつに殺されたの」

他人を自殺させる能力による証明不可能な犯罪をどうやって裁くのか……

〇感想(ネタバレなし)

【特殊設定ミステリ】

・面白い!
 300ページあるが、展開が気になりすぎて余裕の一気読み。

・序盤は、普通の「学園ミステリ系」かと思って読み進めるが、途中から突然能力が登場する。
しかし、「魔法が使える!」といった、ファンタジーファンタジーしている感じではない。
あくまでも、日常生活の延長に能力(非日常)の要素が上手く組み込まれており、無理をしている感じはない。

・「犯人が誰なのか」を予想するのはもちろん面白いが、「どうやって罪を証明していくか」を導く過程が更にワクワクする。

・学校生活をどのように過ごしてきたかによって、感情移入しやすい人物が変わってきそう。
ここでは伏せるが、私も読みながら、ある登場人物に感情移入し、「もしも同じ立場に出くわしたら、きっと同じようなことをするだろうなあ」と感じた。

・自分なら「どの能力を使いたいか」「その能力で何をするか」を妄想するのも面白い。

【青春×ミステリ×能力者】、なんて聞くと「要素が多すぎて、上手くまとまるのか?」と思ってしまうが、能力に制限があることで、推理や考察が更に楽しめる。

・このようなミステリは「特殊設定ミステリ」と呼ばれており、最近流行っているらしい。


【作者について】

「伏線がすごい!」というのは、これ自体がネタバレの一種である気がするが、作者の浅倉秋成さんは「伏線の狙撃手」と呼ばれているミステリ作家

・高校時代はお笑い芸人のジャンボたかおとコンビを組んで、漫才の大会にも出ていた!

お笑いでは「オチ」はとても重要な要素であるが、伏線が得意というのは、こういうお笑いの要素も関係あるのかも?

・「伏線の狙撃手」なんて言われ方をすると、作者本人にも相当なプレッシャーがかかりそうな気がするが、毎回、読者の想像を遥かに飛び越えてくるのは凄すぎる。


以上です!
普段、ミステリを読む人も読まない人も「特殊設定ミステリ」をぜひ一度体感じてみてくださいね!


〇関連記事

浅倉秋成さんが書いた、就活を舞台にしたミステリ小説『六人の噓つきな大学生』も大変面白いので、こちらの紹介記事もぜひご覧ください。


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