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弟子・藤井聡太が教えてくれた99のこと(著者:杉本 昌隆)

〇ジャンル

将棋

〇感想

・「藤井聡太」という天才を育てた著者の師匠としての心構えや、彼から受けた影響などが記されている。著者はただ「師匠」という立場のみならず、同じ「棋士」としても影響を受け、自身の将棋に対する意識などが変わっていることが分かる。

・「藤井聡太の師匠」という見方がどうしてもされてしまうが、棋士としての実績も勿論残している。

・悔しさや諦めなさが著者の原動力になっている。また、歳を重ねても熱中できる将棋の魅力はすごいものだなと感じた。

・藤井と師匠の関係性、普段の藤井の様子が垣間見ることが出来て、面白い。

・藤井のみならず他の弟子への思いや接し方なども興味深かった。特に、棋士を断念したが、別の道で成功をしている元弟子とのエピソードは良かった。

・年齢差のある弟子と接することが多い著者であるため、世代間による考えや行動の差に留意しており、これは師匠と弟子のみならず、職場や家族などの関係性でも重要なことだと思う。

・私は羽生ファンであるため、羽生善治九段のエピソードも良かった。

・少し自己啓発本に近い印象も感じた。


〇印象に残ったこと

・負けないことは技術の好調、負けてもめげないのは精神の好調

・1つの戦法を徹底的に突き詰めることと、いろいろな戦法を試して芸域を広げることの選択に正解は無い。1つの戦法を貫くことは相手に作戦が読まれるリスクもあるが、1局1局が確実に次の対戦への糧となる。

・勝っていてもスランプはある。

・熱が覚めないうちに結論を出す。

・心の中の上から目線(今回は譲ってやろう)

・AIは時間の節約をしてくれる。人間の仕事が奪われるという危惧をするのではなく、別のことが出来るようになると捉えている。

・棋士は研究者、芸術家、勝負師の3つの顔を持つ

・主張は棋士の個性

・将棋の様々な楽しみ方:ネット中継、将棋bar、将棋カフェ、将棋アプリ、観る将、指す将、描く将など

・将棋は「間」の競技。相手の指し手を見て、過去を振り返り、次に何を差そうと未来を見据える。

・将棋感と人生観は互いに大きく反映される。

・スランプは1年までは不調だが、2年続くと実力

・簡単な詰将棋でスランプを脱する。

・他人は自分のことを見ていないようで見ているが、見続けているわけではない。


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