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読書ノート

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読んでいる本、読んだ本、読みたい本についてつれづれ書いている日記のようなもの
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2024年5月の記事一覧

「中古本を買っていいのか問題」への読書猿さんの回答から学ぶ

「中古本を買っていいのか問題」への読書猿さんの回答から学ぶ

新刊本を買わず中古本を買うことは、著者・作者や出版社にダメージを与える「悪い行為」なのではないか?というモヤモヤを抱いていました(今も解消しきってはいない)。この「中古本を買っていいのか問題」に対して、『独学大全』などで知られる読書猿さんが回答され、それが納得感のある考え方だったので、記録しておきます。

質問投稿サービス「マシュマロ」で、学生さんから読書猿さんに寄せられた質問。「作家への印税や、

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優しさが息苦しい世界で息をする方法ー再読『ハーモニー』

優しさが息苦しい世界で息をする方法ー再読『ハーモニー』

伊藤計劃さん『ハーモニー』(ハヤカワ文庫、新版は2014年、旧版は2008年)を再読しました。優しさ正しさが敷き詰められた世界は、息苦しくなる。そのことを予見した本作は、きちんと「息苦しい世界で息をする方法」も提示していたんだと気付かされました。

世界規模の核紛争を経験し、人命がどんな価値よりも優先されるようになった社会。政府は「生府」に生まれ変わり、構成員の健康管理に積極的に(ほとんど過度に)

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余白とピン留めー余録『人生のレールを外れる衝動のみつけかた』

谷川嘉浩さんの『人生のレールを外れる衝動のみつけかた』(ちくまプリマー新書、2024年4月10日初版発行)の素晴らしさについては別の記事に書きましたが、そこでは書ききれなかったことがありました。それは「細部にこそ重要な何かがある」という話です。

この本は「衝動」とは何かを考える本で、上記引用部分のインタビューとは、衝動を探究するための「セルフインタビュー」という手法について語った部分です。メイン

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2024年4月に読んだ本リスト

【4月】・『その可能性はすでに考えた』、井上真偽さん、講談社文庫
・『学ぶことは、とびこえること』、ベル・フックスさん、ちくま学芸文庫
・『自閉症感覚』、テンプル・グランディンさん、NHK出版
・『いつかたこぶねになる日』、小津夜景さん、新潮文庫
・『死にたいって誰かに話したかった』、南綾子さん、双葉文庫
・『訂正する力』、東浩紀さん、朝日新書
・『中央線をゆく、大人の町歩き』、鈴木信子さん、河出

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