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あなたはお金のために働くの?


お金は無力なんや。

きみのお金は誰のため 田内学


この本でお金について教えてくれるある人は、お金についてこう言う。

「こんなもんに価値があるわけやない。もっと大事なものがあるんや。君らみたいな子供は、社会も愛も知らんのやろうな」

働く=お金を稼ぐこと

という考えを大人が言っているのを聞いて育った。

働かなきゃ生きていけないよ、生きていくにはお金が必要なんだから。

正論だと思う。
ただ働くというのは、お金を稼ぐことだけに価値があるわけじゃない。

この本はちゃんとそこを教えてくれる。

社会について誰かがこんなことを言っていた。

社会は自分が生まれるずっと前からあったものだ。だから、今の社会がクソだったとしても、それはあなたのせいじゃない。

私にとって社会は、一つの部屋だと思う。

ずっと昔に生きた人がルールやシステムを作って、テレビはここ、時計はデジタルにしよう、ソファはここにおいて、室温は20℃にしておこう。そんな風にして少しずつみんなが居心地良く過ごせるように作った一つの部屋。

でも残念ながらこの社会は居心地が良いかと言われたら、そうでもない。

じゃあ、この居心地の悪いこの部屋で私は何をしよう。

これは私が作ったわけじゃないから、と“関係ないですわたし”を決め込むつもりはない。

居心地が悪いなら悪いなりに、自分が生きているうちにちょっと上質なソファをこの部屋に置きたいと思う。

たくさんの人が腰を下ろせるソファを、出来れば次の世代に残してあげたいと思う。

ダムや新幹線を造った人たちに会うことはなかったが、同じ空の下に生きていて、僕らのために働いてくれたことが十分感じられた。働くということは誰かの役に立つことだと子どもながらに感じ取ってたんやと思う。

働くということは、誰かの役に立っていることだ。

仕事を辞めて学生に戻った今、改めてそう感じるようになった。

私はたくさんの、出会ったこともない人に支えられている。

たくさんの、一生懸命働いている人に支えられている。

朝食べるパンも、学校に向かう電車も、授業を教えてくれる教授も、今使っているパソコンも、全部一生懸命働いて、社会の役に立っている人たちによって存在している。

そんな簡単で明らかなことを私はずっと忘れていた。

1人ひとりが誰かの問題を解決しているから、僕らの社会は成り立っている、何度も言うように、お金が社会を支えているわけやない。

この本はお金という私たちが持つ共通の価値を通じて、社会への手触りを変えてくれる。

「選べないとお金は力を失うんや。教育に力を入れようと国が予算を増やしても、学校の先生がおらんかったら何もでけへん。お金がえらそうにできるのは、働いてくれる人から選べる時だけや。災害が起きて働ける人が減ると、お金の無力さに気づくやろ。」

“子供に読ませたい本”と言われている本ですが、今働いている社会人、何のために働いているかわからない人、社会と自分との関わりがピンときていない、孤独感を抱えている、そんな大人にこそ読んでほしい本だと思います。

是非。

Written By あかり

アラサー女

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