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魔法少女梨花

梨花は考えていました。この町を救うにはどうすればいいのかと。魔法のステッキが光っても、ビームが炸裂しても、根本的解決には程遠いと思ったからです。


空に浮く、ステッキをかざす。夕焼けのひかりがジュエルにあつまる。私は魔法少女、齢十四歳、大人びてしまった暴力で、だれを助けるの?


化物。街を襲撃する彼らは、一様に寂しい顔をしている。いたみを知った美しい顔だ。私はそれに値するうつくしい思想を持つか? 分からない。梨花は通報があってもしばらく放置しているときがある。五分ほど。


梨花は考えていました。化物は以前人であったのだろうと。家族がいて、愛してくれる人がいて、愛した人がいたのだろうと。なにかが彼らを化物にした。教科書にも載っていないおそろしい方法で。


空に浮く、ステッキをかざす。夕焼けのひかりがジュエルにあつまって、まるで奇跡みたいだったけど。しっている、私には私の役割がある。寂しい顔の、美しい相貌に、ビームをぶっ放す仕事だ。地獄には落ちるだろう。蜘蛛の糸は下ろされないだろう。自分で飛べ、お釈迦さまはそう言うだろうか。


梨花はおぞましくもなるのです。自らの善行と言われている行為が、すべからく地獄へと繋がっているのではないかと。(夕焼けの街は綺麗で、真っ赤で、心臓をさらけ出したみたい、私はなんどもシミュレートする、首尾よく化物を倒す方法を。私はなんどもシミュレートする、首尾よく私を仕留める方法を。私は少年兵、弱い十四歳、大人びてしまった暴力で、誰を助けるの?)


化物。梨花は手鏡を見て呟く。ステッキをもういちど高く、たかく掲げると、慈雨のような光があふれだし、喝采が一瞬にして訪れる。ああ、私には逃げ場がないんだ。私自身がこの街の機構なんだと、梨花は妙に冷静に納得してしまう。


「夕焼けの街は綺麗で、真っ赤で、心臓をさらけ出したみたい。私はなんども願っている、このふざけた茶番劇を終わらせる方法を、私がこの街を救うには、私が私の役割を降りなければならない。どうしよう、どうしよう、ああ、夕焼けが真っ赤にひかっている、心臓をさらけ出したみたい。私はなんどもシミュレートする、うつくしい思想が、まるで奇跡のように顕れてよ! 美しいものは夢、魔法のステッキも手鏡も夢、梨花という名前も夢、きらきら町もゆめ、化物の涙も夢・・・・・! 

・・・・・私は架空の存在という枠を超えて、この町の息の根を止める魔法を命がけで探しています。」

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