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ペットフードは炭水化物の表示義務がない

犬猫の1日のエネルギーは、
炭水化物・脂質・タンパク質(三大栄養素)から摂取します。

カリカリなどのペットフードは、本来の犬猫の食性から考えられる理想の炭水化物の量よりも高炭水化物であるものが多いのが主流であるように見受けられます。

炭水化物が多い理由はいくつかありますが、そのことが知られていないのも事実です。

高炭水化物なフードを食べて大量のうんち(紙ねんどのようなうんち)を出す場合は、消化に負担がかかっている可能性もあります。


・なぜそれほどまでに高炭水化物なのか
・そしてみんななぜそれに気付かないのか

のからくりをご説明します。


<炭水化物とは>



炭水化物は、
・動物が消化できる「糖質」
・消化できない「食物繊維」

に分けられます。

糖質は、消化酵素によりグルコース(ブドウ糖)・フルクトース(果糖)などの単糖類まで分解されてから体内に吸収されます(グルコースは血糖となる)。

グルコースは、直接エネルギー源として利用されるほか、脂肪組織(体脂肪として)や、肝臓に(グリコーゲンとして)蓄えられます。

食性が肉食である犬猫における特徴としては、デンプン(糖質)を消化する消化酵素(アミラーゼ)活性は、人と比較すると低いです。

つまり、
人と同等の炭水化物量を食べてしまうと胃腸に負担がかかります”(大前提としてとても重要)。

「お粥さん」は、人には消化に優しい代表選手ですが、
犬猫では必ずしもそうではない、と覚えておいてください。

食物繊維は、炭水化物の中でも、動物の持つ消化酵素では分解されない物質のことです。(腸の蠕動運動亢進がメリットとなる子もいますし、腸内細菌の栄養源となるものもあります。)

消化されずにそのまま便として体外へ排出されるため、うんちのかさ上げをしています。

食物繊維が豊富であるペットフードを食べている犬猫の便の量が異常に多いのは、ほかでもなくこのためです。


<ペットフードに使われる炭水化物源となる原材料>


・糖質源として
米、トウモロコシ、大麦、小麦など

・食物繊維源として
セルロース、ビートパルプ、チコリーパルプに加えてサイリウムやFOS、MOSなど

(余談ですが、紙ねんどの成分はパルプです。)


<炭水化物の与えすぎによる影響>


炭水化物を取りすぎると、肥満の原因となることがあります。

また炭水化物が多いと、相対的にタンパク質・脂質が少なくなり、低タンパク・低脂質による不調に陥る可能性があります。
(3大栄養素でエネルギーをとるので、1日に必要なエネルギー必要量は限られているという観点から)

逆にいうと、低脂肪低タンパク質に設計したフードは、おのずと高炭水化物なフードになってしまうとも言えます。

タンパク質から必須アミノ酸、脂肪から必須脂肪酸を摂取しないといけません。
タンパク質も脂質も、生命維持に欠かせない、非常に重要な栄養素です。

肉食獣としての性質が強い猫は、たとえ炭水化物をほとんど摂取しなかったとしても、糖新生(たんぱく質→糖質)も行えるため、
炭水化物は必須ではないと言えます。

また、本来自然界では便というのは、自分の匂いを天敵に知らせてしまうものでもあるので、少ないに越したことはありません。

消化のいい食事を摂っていれば、便の量自体が少ないのです。

例えば、(特別に食物繊維を増やす設計を施していない)手作りご飯100%の子では、便は3~4日に1回程度であることも珍しくありません。
もちろん決して便秘などでもありません。

炭水化物(食物繊維含め)をむやみに多く含むご飯は、
直接的な害があるというわけではなかったとしても、
大量に便を出すなど、犬猫本来の姿とは異なる状態を作り出すこととなります。

<フードは炭水化物たっぷり、でも表示義務がない>


ペットフードの保証成分にはタンパク質・脂肪・繊維・灰分・水分を表記する義務がありますが、炭水化物には表示義務がありません。

ほとんどのペットフードには炭水化物の量が書かれていません。

タンパク質源は高価な傾向にあるのに対し、
砂糖を製造する際の副産物であるてん菜副産物(もともと食べられないゴミ)などは安価ですし、

小麦等の穀物もタンパク質源に比較すると安価と言えます。

実際、かさ増し・コスト削減・キブル(粒)の安定化等のために、相当量の炭水化物が使用されているフードが多いです。


<結論>


フードには相当量の炭水化物が入っていますが、表示義務がないため皆さん意外とそのことを知りません。

ただ、タンパク質が少ないことから(カロリーは一定なため)、炭水化物が多いことは容易に想像できます。

犬や猫が、人でいうご飯におかず、のようなご飯を食べるようなものですね。

犬や猫は、食性の特徴は肉食獣です(犬は定義としては雑食動物に定義されますが)。

肉食獣としての食性に適した栄養を摂取することが重要です。

フードをご活用のご家庭では、「必ずパッケージ裏面の原材料表示は確認しましょう」と日頃から投稿でも言っていますが、成分表示も確認する癖をつけるようにしましょう。

<つじつまがあわない主張>


手作りご飯を実践している方の中には
「ねこまんまなんてあげたら病気になるよ」なんて言われてしまった方はいませんか?

正直、フードの方がねこまんま的栄養バランスなのです。(米の上におかずをのせているかのような配合)

多量の炭水化物の上にお肉トッピングの組成であることも珍しくありません。
これでは確かに炭水化物メインでタンパク質不足に陥ってしまいますね。

手作りご飯でも、フードでも、気を付けるべきポイントは同じで、
きちんとタンパク質量を与える事は重要です。

そのためにも、炭水化物をむやみに過剰に与えることは避けなければなりません。(与えるなとは思いませんが)

フードには糖質(炭水化物)が大量に含まれているにも関わらず、
犬猫に人が食べる食べ物のうち糖分が含まれているものを与えてはいけない!との主張もつじつまが合いません。


フードに含まれる大量の糖質が受け入れられるのであれば、多少の甘いもの(糖分)を摂取することに何ら問題はないはずですね。

「人のものは体に悪い」「犬用猫用しか食べさせてはいけない」の刷り込みは、
あくまでもマーケティング戦略の要素が強いです(人は食べられるけど犬や猫では中毒を起こす一部の食品への注意はもちろん必要)。

そのことを忘れないようにしましょう。


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