見出し画像

会社員が会社経営について身近に感じられるためには経費を調べてみるしかない

枕にかえて

起業や独立が持て囃されるとはいわないものの、会社を設立してギラギラと「パーパスだ!」「ミッションにビジョンにバリューだ!」なんて文言がネット界隈を中心に話題にならないことはない。

僕としては何でもかんでも英語ではなくカタカナにしてしまう人たちを、少し冷めた目でみながら「カナたがり」と呼称しほくそ笑むという陰湿な楽しみ方をしていることもあり、そんな雰囲気にはどうも慣れないままである。

どうも、えんどう @ryosuke_endo です。ただ、創業したり、経営したりってのは本当に素晴らしい意気込みと覚悟なのだが、それを万年会社員みたいな人は理解できないこともあり、独立や創業したり開業をする人との間に距離があるような気もしているので少しでも埋めていけるような情報を提供できないかなぁと考えていたりするので試しみ書いてみよう。

▶︎ 毎月決まった額の給与が支払われるのは大変なこと

万年会社員の人には理解できないかもしれないが「毎月定額が誰かに支払われる状況」は、決して容易なことではない。

たとえば、これをお読みのあなたの給与が収600万だとしよう。

これは額面上の金額であり、手取り金額ではないことは重々承知であろう。しかし、額面上とはいえ600万をもらえる人は日本の中でも上位層である。ちょっとそれだと親近感が湧かないので360万にしよう。平均年収以下である。

額面上で360万とは月額で30万円だが、ここに社会保険料がかかってくる。健康保険と介護保険、さらには厚生年金など各種の支払いを天引きされたら手取り額は24、5万といったところだろう。

しかし、それを会社員個人で負担しているのではなく会社側も折半で支払う。もっといえば、雇用保険等や労災保険料など「法定福利費」を含めると、(自治体によって変動するが)約15%も上乗せした金額を30万円の支払っている

会社員だけをやっていると、この認識などさっぱり持つこともないだろうが、人を雇用するには給与額以上の負担が企業側にはかかっているのだ。

▷ 売上だけでなくあらゆる経費を考えてみよう

僕は経歴の初期を個人事業で開始していることもあり、自分の給与自体がまったくうまく稼げない時期を経験しているからこそ、毎月安定的に支払われる「会社員」という仕組みを尊敬したものである。それはもう心底に、だ。

ただ、これを根っからの会社員に「経営意識を持て」とか「金銭感覚を経営者目線で」とかいったところで土台無理な話なのである。彼らには「誰かに対して給与を支払うこと」はおろか、それにまつわる各種費用に関する実体験などないのだから想像などできるはずもない。

ただ、まったくもって想像する機会がないのかと言えばそうでもない。

たとえば、営業担当する部署に所属しているのであれば、販売成績だけでなく自らが動くことによって発生する自らの人件費も含めた各種経費を計算してみるといい。(そんな暇はないという人ほどやらないのは僕が証明している通り、現実を知ることを避けている人の言動だ。)

人件費は先月の給与支給額を時間換算して時給にしてみればいいし、PCを貸与利用しているならば何かしらのシステムやソフトウェアが入っているだそうしウィルス対策ソフトもインストールされているはず。

名刺だってタダではない。いくら経費をケチって自前印刷をしてペラペラなものであったとしても印刷紙にインク代もかかっている。オフィスにあるあなたのデスク周りにも経費で購入されているものはたくさんあるはずだ。

日常使いのものから、たまに使うもの。オフィスの周辺の物件をググって出てきた賃料から人数で割って計算すれば、利用しているのがいくらか計算することが可能だろうし、電気代も月々いくらかかっているのかは経理部門や総務部門に問い合わせれば分かりそうだ。

そもそも、あなたを雇用するためには応募してこなければ雇用できない。では、その応募はどこに出していたものか。その応募をかけるのにかかった広告費や人件費は...なんてことを考え、自分が働く上で支出がいくらかかっているのかを計算してみると、とてつもない金額が弾き出されることだろう。

▷ あなたを雇用するのにかかる経費は給与だけではない

ここまで見てきたように、あなたを雇用するのにかかる経費は給与だけでは済まない。

上でみたように採用媒体に出稿しているのであれば、そこへの掲載(広告)費用に加え、掲載するために稼働した人員の経費も発生している。

雇用となれば書類審査や面接を経ているだろうが、そこに出てきてた人たちの人件費なども計算すると、それはもう大変な金額がスタッフを一名雇用するだけでも計上されていることがわかる。

このように、誰かを雇用するだけでも大きな費用が計上される。こんなこと「定額働かせ放題」などと自らを揶揄するようなことだけを述べている人には到底理解できないだろうが、少なくとも自分が稼働するためだけでも準備されている各種備品や書類の準備、各種申請などが滞りなく行われているからこそだと認識しておいて損はない。

むしろ、あなたが会社で働くことができているのは、あなたを雇用するまでにかかった経費を捻出するためにがんばって販売してきた人たちがいて、業務管理系の職域を担当する人たちが懸命に書類等の提出期限を守っているからこそ成立していることなのだ。

それに向けて「営業成績がいい」だとか「経費削減の成果が出せる」といった単発的な成果だけを誇張するような人間がいるのだとしたら、ただちに考えを正すべきだ。

仮に傲慢で高飛車な態度が取れるようになるのはいつなのかといえば、あなたが出した優秀な成績をあなただけで完結しないような仕組みを構築し、実際に稼働してみたところ「たしかに成果が出る!」と社内に知れ渡ったときぐらいなものだ。

そうなると「たしかに仕組みは構築したかもしれないけど、(この成績は)別にあなたがやったわけじゃないでしょうに」と蔑まれる対象になってしまうかもしれないので、それはそれで注意が必要だろう。

▷ 年末調整や確定申告を避けずに自分でやってみよう

あと会社員になっていることで非常に恵まれているのが年末調整や確定申告などの申告業務を行わなくていい点にある。これはもう会社員でいることの大きな大きな利点であるという他にない。

会社員でのみあり続けた人たちには理解できないかもしれないが、この申告業務における大変さは実感しなければ理解できない。ただ、会社員であることでまったく経験できないのかといえばそうでもない。

副業をして年間利益が20万を超える人ならば申告の義務があるため、確定申告を行うのは周知されているだろうが、年間の医療費が10万円以上となる場合にも確定申告を行うことによって還付金が期待できる。

この作業だけでも経験した方がいい。

なぜなら、年間で10万円もの医療費といえば、各科ごとに支払った領収証をかき集めた上で計算するだけでなく、調剤薬局からもらっている領収証も含めた金額を計算するのだ。

負担額が3割などであるから、10円単位の細かい金額が出てくることもあり計算が非常に大変なのだが、いくら表計算ソフトを使用していたとしてもチビチビとした金額を10万円分も打ち続けることには心が折れてしまいそうになる。

そんなことを会社内で事務作業を担ってくれる人たちがいることは、きちんと認識した上で存分に感謝すべきだし、そもそも簿記三級程度の会計知識も身につけていない状態でどうにかこうにか業務にだけ専念できることをありがたく考えるべきだ。

それが嫌なのであれば、会社に年末調整を丸投げせずに自ら手を動かして確定申告として取り組むべきだ。使用したお金をどの科目に入れればいいのかなどは初めてやる場合、かなり苦戦を強いられることだろう。

そこは会計専用のソフトがあるから利用することをオススメする。かなり捗ることだろう。

ちなみに僕はfreeeをつかっている。

...ここまで散々と書いてきたが、結局のところ、会社員のみが業務を行うだけで経営者目線や経営者の視点に立つことなど不可能なのだ。それを求める経営者こそどうかと思うが、同時に、簿記三級程度の会計知識も身につけていない会社員は、今後は苦しくなるだろう。

自らの食い扶持を主業や副業の境目のない複業を前提とした働き方をしなければならない時代に突入している以上、最低限の会計知識ぐらいは身につけておかなければ正直しんどい。

別に小言を言いたいわけではないが、あまりにも会社員然としすぎることは今の子どもが大人になる頃には存在していない可能性もある。

そんな時に情けない姿を晒すわけにはいかない。そう実感ならば毎月定額を支払われる偉大さを理解することからはじめよう。「別に構わない」なんて人は、ゴロゴロと転がっていてほしい。

どちらかというと、僕もそちら側の人間だ。

ではでは。

えんどう

▶︎ おまけ

▷ 紹介したいnote

この青田さんのnoteは自身の給与がどうやって決まっているのかを把握することを存分に助けてくれるだろう。「毎日書いているから」と僕はこんな風に図解することを面倒に考えてしまうからこそダメなんだろうし、だからいつまでも自身の給与を引き上げるに至らないのかもしれない。

Mr.リモートワークこと石倉さんのnote。少し前の記事だが、この記事だって存分に「給与」について思考することを助けてくれる有益なものだ。キャスターは完全リモートワークの集団であることを踏まえると、出社して仕事をした気になる人間がいないからこそ、制度が重要なのだ。

面白法人カヤックが人事評価や給与制度にボードゲームを利用した際のnoteだが、非常に面白い取り組みであると同時に、ただただボードゲームを楽しんでいるわけではないだろうことを解説してくれるものだ。ただただ楽しいのかもしれないが、それはそれでありなのかもしれない。

▷ 本noteに関連する紹介したい書籍

僕は起業礼賛主義ではないのだが、起業関連の書籍を読むことによって得られる起業準備の項目が好きだったりする。個人事業主の開業届は紙ペラ一枚を出して終わりだが、起業となると一気にハードルが上がる。とはいっても、一つ一つをクリアするゲームのようなものだ。

▷ 著者のTwitterアカウント

僕の主な生息SNSはTwitterで、日々、意識ひくい系の投稿を繰り返している。気になる人はぜひ以下から覗いてみて欲しい。何ならフォローしてくれると毎日書いているnoteの更新情報をお届けする。

リンクを踏むと僕のTwitterアカウントへ飛びます

最後までお読みいただき、本当にありがとうございます。 お読みいただき、それについてコメントつきで各SNSへ投稿していただけたら即座に反応の上でお礼を申し上げます!