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“イクメン”が死語化する世界線をいち早く到来させるにはどうしたら…

どうも、ゑんどうです。

“イクメン”とは何か?あなたにとってイクメンとはどんな存在ですか。ボクにとっては誰でもない、性別すら不明な架空の人物を表する言葉といった認識です。

そういえば…と思い、「イクメン」と検索窓に打ち込むと育MEN(イクメン)プロジェクトと名付けられたWebサイトが登場します。

このプロジェクトは2010年6月に発足し、さまざまな活動を行ってきたことはWebサイトの「イクメンプロジェクト活動レポート」からも窺い知れます。まさに、言葉として育児をする男性を指す標語としてのイクメンを作り上げたのは彼らであると言えるでしょう。

そんな彼らの活動には敬意を表するとともに、そう言った認識が日本社会で蔓延することによって、子どもと一緒に暮らす人たちだけでなく、これから子どもと一緒に過ごしたいと考えている、身銭を稼ぐために働く人たちに勇気と希望、何よりも安心を届ける活動であると思い、尊敬すらしている次第です。

しかし、だからこそ「イクメン」は死語として消えゆくものになっていくべきだと思うのです。父親当事者であるからこそ、イクメンなんて言葉が消える世界線の到来を期待する理由について書いてみようと思います。

女性の社会進出によって求められ出したであろう”何か”

「イクメン」とは、昭和のちゃぶ台を返すような頑固で怒りっぽい鬱屈した性格の前時代的な父親を想起したものではありません。

休日には子どもを連れて公園に行き、平日も幼稚園や保育園の迎えに行っては手を繋いで帰宅することを前提とした現代的な父親のこと、もしくは、そう言った父親像に適った、育児や家事を積極的に担う父親を表します。

この言葉が広く知られるようになった背景を鑑みると、女性の社会進出が進み、男女ともに仕事と家庭を両立することが求められるようになったことが挙げられます。その数値的な事実は内閣府男女共同参画局が『女性活躍・男女共同参画の現状と課題』と題して2023年3月にまとめてくれています。

まず、女性の就業者数は2012年から2022年までに370万人増加しているそうですが、共働き世帯という枠組みで見てみると昭和時代には無業の妻、いわゆる専業主婦と呼ばれる人がいる世帯数は共働き世帯を上回っていたものの、平成に入って逆転されてからは追い抜く気配すらありません。

【内閣府】女性活躍・男女共同参画の現状と課題_p9
【内閣府】女性活躍・男女共同参画の現状と課題_p22

これは世帯構成にも大きな変化が見られます。

昭和55年にはサザエさん一家のような三世帯家族が全体の1/5を占めていたのにも関わらず、平成が終わる頃には1/10以下になっています。昭和時代に最も多かったのは夫婦と子どもといった家族構成でしたが、いまは全体の1/4ほどで最も多いのは単身世帯。

【内閣府】女性活躍・男女共同参画の現状と課題_p20

これの解釈はいろいろとありますが、初婚や離婚、再婚などの動向を見てみると明らかになりそうです。

【内閣府】女性活躍・男女共同参画の現状と課題_p17

ご覧の通り、初婚数が戦後で最低なのが現在の日本がいる現在地。
結婚をする人たちがいないからこそ、少子高齢化に拍車をかけているのは間違いなさそうですが、それの最も大きな理由は経済的な理由によるところが大きいでしょう。

以下は女性の最終学歴と所得の関係を表した図です。学歴によって所得に差が出るのは有名な話ですが、それ以上に負債となる奨学金という名の借金を背負っていることも忘れてはいけません。

【内閣府】女性活躍・男女共同参画の現状と課題_p25

日本学生支援機構が隔年で(2年ごとに)出している学生生活調査において、2020年時点で大学生の49.6%が奨学金を利用していることがわかっています。2004年度時点で41.1%ですから10人に4人は奨学金を利用する状況は約20年で増加しています。(1992年時点では20%台だった…!)

【独立行政法人日本学生支援機構】令和2年度学生生活調査結果_p12

さらに、奨学金は給付型と貸与型とがありますが、給付型のみの奨学金を利用できているのは多くても全体の7%弱ほどで、後は給付と貸与をセットにしていたり、貸与型を掛け合わせて受給していたりと、将来の自分に返済させることで大学に通うことが成立していたりします。

【独立行政法人日本学生支援機構】令和2年度学生生活調査結果_p24

何が言いたいのかというと、大学まで通うのだけど、卒業時には何百万の返済義務を負う人たちが40%ってことです。つまり、奨学金の返済に追われた状況なのにもかかわらず、平均給与は一向にがる気配がないので、夫婦共働きでなければ生活ができません。

【厚生労働省】令和2年版厚生労働白書-令和時代の社会保障と働き方を考える

さらに、租税負担や社会保障負担を合わせた義務的な公的負担に関する国民所得に対する負担率の比率は昭和時代や平成時代から見ても高くなっており、所得の半分は国の制度に向けて支払っているため、手取り金額自体が少なくなってしまいます。

【財務省】負担率に関する資料(国民負担率及び租税負担率の推移_国民所得比)

もっというならば、65歳以上の年金受給者夫婦がいたとして、世帯に入ってくる年金収入が206万以下なら保険料が7割軽減の対象で、年金収入が400万でも2割軽減です。

いくら昔払っていたからと言っても、現役世代に対する負担ばかりが重くなる一方で、現役当時はそれほど国民負担を強いられていなかった人たちが優遇されるような状態は、あまりにも歪すぎやしませんか。

このような背景を踏まえると、そもそも家庭を持つことすら無理ゲーっぽくなってきているため、子どもを産んで育てるだけの金銭的な余裕なんてないと考える若い世代が増えてしまうのは仕方のないことでしょう。

だったら、せめて子どもを見ることを男性にもやってもらわなければ身体的な苦痛を伴わう女性側からしたらたまったもんじゃありません。

ここまで見てきた通り、イクメンとカジュアルに育児や家事に対するイメージをポップで身近なものにしなければいけない背景は、かなりえげつないグロテスクな理由によるものです。

根本的に、男性が育児や家事を懸命に取り組むこと自体は賛成。

どうしても身体的に負担がないわけですから、後天的に接触時間を増やすことによって自覚を持つことができるようになって行きますので、必然的というか当然、すべきことでしょう。

ただ、それをわざわざイクメンと表記しなければならない状況になっていること自体は否定したい。そんなことから書いたのでした。

おわりに

ここまで言っても「男性は仕事に専念すべきである」という保守的な意見を持っているおじさん達はいるのかもしれません。また、子育てや家事は女性が担うべきであり、男性がそれらに参加することは、女性の仕事を奪うことにつながるという意味不明な批判をする人もいるかもしれません。

そんな人たちは放っておくしかないのですが、そういう人たちは逃げ切れるような立場と状況で石を投げ込んでくるだけで、溺れてたり溺れそうになっている若い人たちを追い込むような人たちですから、やっつけなければなりません。

でも、若い人たちや現役で子どもに向き合っている人たちほど、仕事をしなければ生活もできないし、自宅に帰ったら子ども達のお世話もしなければならないっていう大車輪の活躍をしているわけですから、もう、みんな偉いですよ。エラい。

ボクも一応は現役で子ども達と生活しながら仕事をする側の人間なので、少しでも早くイクメンだなんて言葉が消えるような世界線を実現したいとは思いつつ、どうしたらいいのかわからないから何もしないって状況に陥っています。

どうしたらいいんですかね。ほんと。

ではでは。
ゑんどう(@ryosuke_endo


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