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あなたが入った会社は、誰かが入れなかった会社。

枕にかえて

 日本国内の人材流動性が高まっている云々という言説を見かける機会が多くなってきた。簡単に言えば、転職を考えているだけでなく実行に移す人間が増えてきたということである。

 就職を果たす若者であろうが、転職を目指すオッさんやオバさんであろうが、定年を迎えたものの「老後」の資金問題を解決すべく労働対価を得ることを目指すジイさんやバアさんだろうが関係なく、一つの会社で労働人生の終焉を迎えることなど現実的ではなくなってきているということだ。

どうも、えんどう @ryosuke_endo です。

 しかし、あなたが入った会社は、誰かが入れなかった会社でもある。これが意味するところは、結局のところ、好き嫌いで選ばれることの方が多い中小企業は採用が困難になっていくであろうことを指し示す言葉だ。

 詳細を以下にて説明しよう。

▶︎ 中小企業は人手不足で労働者は賃上げ不足

 景気が良くなろうが悪くなろうが関係なく、今後の日本は圧倒的に「日本人人材」が供給不足の需要過多の状態になる。別にこれは僕の願望でもなんでもなく、20年や30年経過後に日本に訪れる数値的な事実だ。以下の中小企業庁が出している資料からも年齢構成の変化だけでなく、そもそもの労働人口が減少していくことは明らか。

https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H30/h30/html/b2_1_2_1.html
https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H30/h30/html/b2_1_2_1.html

 ここに転職率を掛け合わせるようなことをすると、低賃金しか提供できない中小企業はこれまで以上に日本人人材の確保に苦戦を強いられるようになることが容易に予想できる。

出典:総務省『労働力調査 詳細集計(長期時系列データ)』 https://www.stat.go.jp/data/roudou/longtime/03roudou.html

 では、未来の中小企業にはツラい未来しか待っていないのか。人材の確保という点で考えてみたい。

▷ 「柔軟な働き方」と「副業」で個人年収の確保を支援

 僕としては未来の中小企業が人材の確保に活路を見出すとしたら、この二つをワンセットで整えていきつつ、どうにかこうにか業務を外部人材に頼りながらやっていく他にないだろうと踏んでいる。

 リモートワークやテレワークといった事務所などへの出社に縛られない働き方を提供すること。そして、自社だけで提供できない希望年収を副業が可能という形で個人で補ってもらうという点だ。

 この二つが共存しない場合を想定すると、かなりの数の中小企業が人材確保が立ち行かず、事業の継続どころではない話になっていくのではないか。

 結果、そういう事業者の業務が機械化されることで人材の確保が不要となるのかもしれない。...かもしれない、というよりもそうなっていかざるを得ないはずだ。

 そうなることで一気に機械化が進むことは歴史を見れば明らかである。多くの産業における業務の機械化の議論は結果論として達成されることになるだろうが、それは「労働者不足」や「人手不足」を突き詰めていった先の必然だ。

 機械化するよりも安価で人を雇用できるから機械化が進まないのであって、人を雇用することが高価となり機械を導入した方が安価なのであればそうするだろう。それが経営判断というものである。

 しかし、そうなってくると日本人の賃金が上がるのか下がるのかが気になるところだが、それを期待できることもなさそうだ。

▷ おそらく平均年収はこれからも変わらない

 以下は、全国労働組合総連合が2019年に出したOECD(経済協力開発機構)のデータを基に作成公表した『実質賃金指数の推移における国際比較』だ。

【図1】実質賃金指数の推移の国際比較(1997年=100)
(出典:全国労働組合総連合(2019年5月23日1))

 うれしいことに先進国の中でダントツの最下位を独走する形になっており、まったくもってうれしくないデータが突きつけられた。

 具体的な金額はどうか。厚生労働省が出している「令和2年版厚生労働白書-令和時代の社会保障と働き方を考える」内の「平均給与(実質)の推移(1年を通じて勤務した給与所得者)」をみてみると、明らかに希望どころか絶望しか浮かんでこない。

令和2年版厚生労働白書-令和時代の社会保障と働き方を考える

 つまり、ここから導き出される解は「日本人の給与は上がることがないこと」と「日本人が減っていくこと」が確定しており、「人手が足りない企業は数少ない日本人労働者を取り合う」という地獄絵図が完成することが容易に想像できるのだ。

 別に僕は悲観的にみているのではなく、少なくとも冷静に数字に向き合った結果として事実を記載しているだけだ。これに関する文句は、これまでに有効な少子化対策を打ってこなかった政権与党と、それを与党に据えてきた有権者たちにいうべきで、僕にいったところでなんの解決策も持っていないので悪しからずである。

▷ 個人で収入を増やすことを支援すること

 結局、今後10年間で日本の99.7%あると言われる中小企業で起こるのは、低賃金で働いてもらう代わりに働き方は柔軟性を高くするしかなく、賄えない個人の年収分は自社以外の副業などを受けてもらうことで確保してもらう形で契約を結ぶ他にないということだ。

 年収で400万円も出してくれる会社が多いとは言わない。20代で400万もの年収を稼ぐことができるのは多数派ではない。30代になって初めて日本人の大半が到達するものだが、地方の中小企業がそれを捻出できるのかと言えば、そうではない。

 優秀な若手には回らず「年齢を重ねた社歴の長い年長者」が多くの年収を確保することが構図として成立している。この構図を崩すことは20代や30代の若手人材には不可能なことを鑑みると、余計に若手人材を中小企業が確保することは難しいと言わざるを得ない。

 「いやいや、そんなことはない。我々の事業は大変有意義なものだし、夢を見る若者たちはやりがいを求めて自社にやってきてくれるはずだ」

 そう考える人たちがいるかもしれないが、それは人が余っていた時代の話で、当時の人たちだって仕方なく入ってきていたに違いない。仮にそういう意識の高い社員が入ってきていたとしても、それは一部の社員だけであり、多くの若者はそれほど意識高く働きたいわけではないのだ。

 会社でのやりがいよりも自身の人生をどう充実させるのかが重要だと考えており、それを満たすための手段として「働く」ことを選んでいるだけだ。

 アルバイト同様、基本的には誰かがやりたくないことをやる対価として金銭を得ることが労働である以上、低い条件を突きつけても人材が来てくれるだなんて幻想は抱かない方がいい。

 そうやって苦しくなる事業者は、外国人技能実習生を受け入れ始めるのかもしれないが、一度受け入れてしまったら日本人を受け入れることは本格的に難しくなる。低い賃金で懸命に働く人材がいるのだから、それよりも高くなってしまう日本人労働者を雇い入れることなどできようものか。

 まだ、2022年現在は分水領であり、日本人を確保するためのギリギリなところだと思われる。

 ここで働き方や個人の年収確保にチャチャを入れないような契約条件を提示できるかどうかで、今後の10年20年といった期間の事業活動が大きく変容することになるはずだ。

 知らんけど。

 ではでは。

 えんどう

▶︎ おまけ

▷ 紹介したいnote

会社員の在り方が変容せざるを得ないのが日本という国であり、会社員という生態系こそがガラパゴス的なものであることを認識すべきだ。先進国で所得が上がってない唯一国としての存在感を誇る日本は、決して勝ち組ではない。負け組なのだ。だからこそ個人で逃げ切る努力をしよう。

正直なところ、こういう日常的な幸福を実感している会社員がもっと増えるべきだ。子どもとの時間なんて、あなたの人生において5分の1から6分の1ほどの極めて短時間で終わってしまう本当に希少な時間なのだ。それを無碍にしてまで取り組む仕事なんてものに価値があるのか再考しよう。

単独の所属企業で高年収を得ることが困難であることを踏まえたとして、働き方自体を柔軟にする「私の働き方改革」をみんな意識すべきだ。「お仕事」よりも「推しごと」が最近の僕の中で重要なキーワードなのだが、推しごとのために仕事なんてさっさと終わらせるべきなのだ。

▷ 本noteに関連する紹介したい書籍

「お仕事よりも推しごと」は本書から引用したものである。著者の坂本さんはコクヨに務めつつ働き方改革コンサルタントとして活動する有能な人間だ。坂本さん自身が「推しごと」のために「推仕事」を見直すことをはじめた点こそ、働き方改革の真髄がある。これを目指すべきだ。

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